歴史の常識とは何だろう。 [2011年05月10日(火)]

 古代エジプトを専門にしている吉成です。
最近思ったことを書こうと思います。
 教育実習に行った学生が、実習先で「常識がなくて模擬授業が成り立たない。困ったものだ。」と酷評されたということが学科の会議で話題になりました。「常識」というのが、授業のテーマの内容に関する知識ということと理解して少し考えてみたいと思います。自分の学生時代をふり返ってみると、大学の史学科に入学したのは、古代エジプトを専門に勉強したいと思ったからで、学部,大学院を通して、古代エジプトの勉強ばかりしていてそれ以外の時代や国の歴史についてはまったく興味が湧かず、関係する本など読まなかったし、授業も受けなかった、古代エジプト語の学習と古代エジプト関係の原書の読破にエネルギーを集中していたと思い出します。高校時代も歴史は得意科目ではなく、世界史は赤点状態で、古代エジプト以外は関係ないという感じでした。教職は眼中になかったので教育実習にも行かなかったのですが、もし行っていたら話題の学生さんと同じ様なことになっていたかもしれません。ただ大学の教員になってからは、一般教養の西洋史を担当する様になって授業の必要から古代エジプト以外の歴史も勉強する様になり、そこで得た知識をヒントに自分の専門の分野での視点を変化させたり、研究対象の枠を広げたりすることになりました。結局、自分が興味を持ち、自分の問題と意識できなくては、知識は他人事のままで、たとえ授業で講義を受けても身につかないということだと思います。教育実習に行く前に通史を講じてもらえば恥をかかずに済むのにとか、歴史の教科書を丸暗記しておけば何とかなると考える人が居ると思いますが、それは違う様な気がします。将来、教育実習に行こうと思っている人は自分で考えて何をするのがよいのか、何が必要なのか色々と工夫してみて欲しいと思いました。まとまらない話でしたが、最近考えた事でした。