気軽に本とつきあおう [2011年05月11日(水)]

おはようございます。松田忍です。

歴文のみなさまからご提出いただきました春の読書レポートを読み終えました。とは申しましても先生方で分担して読みましたので、私が読んだのはほんの一部でありますが。

着任一年目の今年は、みなさまからどのようなレポートが出てくるのかを楽しみにしていたのですが、力作が本当に多かった!!というのが第一の感想。特に補助線の引き方がうまい学生が多かったですね。つまり課題書を要約して、最後の二、三行で感想を書くだけでは読解に「深み」がでないですし、「読者を想定した文章」とはなりづらい。それを乗り越えるためには、たとえば「課題書以外の本や別の体験(補助線)」と課題書を組み合わせて比較することで、より深くその本の世界やその著者の世界に分け入っていき、その本とみなさんが「どのようにおつきあいしたのか」を解きほぐして記す方法があると思います。その方法をハイレベルにこなしている姿には昭和女子生の底力を感じ、たいへん嬉しくなりました。

その一方でレポート作成に苦しんだ学生がいらしたのもまた事実です。今回「苦戦しているなぁ」と私が感じたのは、意外なことに「真面目」な学生であるような気がしました。つまり「真面目」であればあるほど、「一冊の本を頭からお尻まで順番に精読していかねばならない」という思いが強いのでしょうか、その結果課題書の中で難易度の高い箇所に出会い、難所を越えられずに途中で挫けてしまったと思えるレポートもありました。

もちろん、課題書がみなさんにとって受け入れやすい本であり、つきあいやすいと感じたならば、頭から順に読んでいくというのでよいと思うのです。しかし本の読み方というのはもっと多様であってもいいと思います。

たとえばみなさんは美術展に行くとき「60点の作品を3時間で鑑賞するから、1点あたり3分ペースで見ていこう」と計算したりはしないでしょう?美学研究の修行のために、あえてそういう見方を自らに課している人もいらっしゃるのかもしれませんが、おそらくは10秒で通り過ぎる作品もあれば、1時間以上立ち止まる作品もあるという感じではないでしょうか?あるいは一回入り口から出口まで、ざーっと歩いた上で、もう一度後戻りして、気になった作品をじっくりと鑑賞するという方法もありますよね。そして1点の作品を深く見ることで、その隣に並んでいた作品や最初は10秒で通り過ぎた作品にも興味が湧いてくる、美術展の企画者の意図もおぼろげに見えてきたりとか。

本とのつきあい方も同じで、もっと気楽でいいと思うのです。「おわりに」から読んでもいいし、「目次」から読みたいところを探して読んでもいい。著者の名前でOPAC検索をかけてみて、他にどんな本を書いているのかなぁと思いをはせてみてもOK。好きに「おつきあい」してみてください。自由にやれといわれても逆に困りますというのであるならば、一つだけアドバイスを。せっかく買った本であるならば「もうだめだ!何が書いてあるのかわかんない!!」と思っても、最後までページを「めくってほしいな」と思います。ここでいう「めくる」とは文字通りの「めくる」でして、「読む」必要はない。ただページを一枚一枚眺めていく。もしかしたら興味深い図表があるかもしれませんし、美しい写真が載っているかもしれない。あるいはまた読めそうな部分が出てくるかもしれない。最初から最後まで同じリズムで読む必要はない。本を「おしゃべり」などと同じような気軽な体験として、楽しんでほしいなと思いました。