昭和女子大学図書館、オタカラ探索!(仮題)

おはようございます。松田忍です。いい天気ですねぇ。梅雨の間の晴れ間には清々しい心地がいたします。

さて突然ですが、昭和女子大学を受験しようと思っている皆様、大学図書館ってどんな本があるのかイメージはありますか?また学生のみなさま、大学図書館は使いこなしていらっしゃいますか?

みなさま方のために、折に触れ、我が昭和大学図書館が所蔵する「キラリと光る史料集」などを紹介していきたいなぁと思います。

題して「昭和女子大学図書館、オタカラ探索!」(仮題)

まず初回は(←シリーズ化するんかいっ、『労働者生活調査資料集成』全10巻です。これは全巻揃っていなかったので、先日図書館にお願いして揃えてもらいました。このシリーズは1920年代~1930年代に、日本の主要都市が行った調査をまとめたもので、当時の「働く人々」のリアルな姿が赤裸々に記録されているのが特徴です。

たとえば今私が借りている第四巻を開いてみると、

  • 1924(大正13)年に東京市社会局が行った「職業婦人に関する調査」に関する報告書
  • 1937(昭和12)年に神戸市社会課が行った「職業婦人に関する調査」に関する報告書
  • さらに1938(昭和13)年に大阪市社会部が行った「職業婦人に関する調査」に関する報告書

がそのままの形で収録されています。「昔の人の生活の実態を知りたい!」などと思って歴文にいらっしゃる方もあるかと思いますが、そういう学生にとって、まさしくこの史料集は「オタカラの山」だといえましょう。あまりにもたくさんのことが分かるのでなにを紹介すればいいか逆に困るのですが、たとえば東京市社会局の調査報を見てみると、

  • 月収31~40円の職業婦人だと44.7%の人が実家などからの補助を受けて生活しているのに対して、月収41~50円になると、補助を受けている率が13.0%まで下がり、逆に誰かを扶養したり、補助したりする人の割合が増えるんだ。だから、補助を受けずに独立して生活できる最低賃金ラインは月40円くらいだったのかな

と分析してみたり、

  • 「結婚生活の準備をしてますか?」と聞かれた「看護婦」が「私は自分一人でさへ、統一出来ないような女で、結婚ということを考えるのが、恐ろしいような気がいたします。こんな者が結婚した所で、きっと其の夫や子供迄、不幸の淵に引き入れてしまうだろうと思います。優生学上より論じても私のような者は、やはり独りで死んでいくほうが良いと思います」と答えているなぁ、この人の人生はどうなったんだろうか!?

と心配になってみたり(若い頃は結婚などの将来のことを考えると思い詰めてしまう瞬間があったりするわけで、その瞬間には質問されると、こういうことを答える人もいたということかもしれませんね)

  • 女性の新しい職業の代表格であるタイピストの88.5%が独身なのか。それにしても調査対象となったタイピスト26人のうち、5名は高等小学校卒業の学歴であるから、必ずしも学歴の高い女性ばかりというわけでもなかったんだなぁ

と生々しい発見をしてみたり、読みどころが満載です。

今回は「職業婦人」の史料が収録された第四巻を取り上げましたが、他の巻には「常雇労働者」「日雇労働者」「給料労働者」「朝鮮労働者」「少年労務者」「水上生活者・陶磁器製造」「店員・徒弟 失業者」「モノグラフィ・日記」の史料がピックアップされており、それぞれ読みどころがある面白い資料です。

オタカラを眠らせておくのは惜しい!是非お手に取ってみて下さいませ。