手漉き紙のつづき

失礼しました。明日といいながら2日間もさぼってしまいました。
続きを始めさせて下さい。
西欧では、そういうわけで紙の原料が限られていたんです。グーテンベルグが聖書を印刷したのも、
ボロ布から造った紙でした。ここで、一寸脇道へ、紙を造るを書きましたが、現在では製紙ですね。
作るとか創るとかは書きません。正倉院文書には、造紙と書かれていますので、私も古い紙を扱っている
関係上、紙を造る、と書くわけです。中国では今でも造紙と書きます。

元に戻って。まあボロ布を出すのは貧乏人ですが、できた紙はやがて銀行のために証券やお札即ち
銀行券になります。銀行からお金を借りた人が返せないと借金となってしまいます。貧乏の原因は
払えない謝金じゃない借金でした。借金は貧乏を生み出します。すると貧乏人はまたもやボロ布をだして
また紙となるわけです。おやまー、紙の循環ですが、あまりよい循環ではありませんね。でも、夏に麻の
ハンカチやブラウスを身につけたとき、ラブレターや貧乏人の話しを思いましてください。

グーテンベルグが活版印刷術を発明したことによって、紙の需要はどんどん大きくなります。18世紀の
産業革命の時代になると、紙を造ろうとしても原料のボロ布が足りない、と言う事態が生じてきてしまい
ます。
そんな状況だから、躍起になってボロ布に代わる紙の原料を探すようになり、やがて木材の繊維、
日本で言うパルプが開発されるのです。

現在、皆さんが手にする紙は全てパルプを原料としていると言って良いと思いますが、西欧の古い
手漉き紙の感触も是非試してみて欲しいものです。増田勝彦