西洋史関連の授業で取り上げた映画ベスト7(後編) [2013年12月16日(月)]

西洋史の小野寺です。
お待たせしました。ようやく後編です。

5.「ROCK YOU!(ロック・ユー!)」

この映画を西洋史の講義で紹介するのは、結構勇気が要ります。
とにかく、時代考証がハナからメチャクチャな作品だからです。

一応時代は14世紀のヨーロッパ。
騎士たちによる馬上槍試合がテーマで、
チョーサーとかエドワード黒太子とかの有名人物も登場していますが、
あとはもうやりたい放題。
クィーンとかエリック・クラプトンとかデヴィッド・ボウイの曲にのせて、
主人公たちが踊ったり、リズムを取ったり。
衣装も、カウボーイ風だったり、オードリー・ヘップバーン風だったり、
ブラジル風だったり・・・。
そういう意味でこの映画、史実に忠実かどうかという意味では完全にアウトなのですが、
DVDに入っていた監督のインタビューが、個人的には印象に残っています。

「1370年にも20歳の若者は言ったはずだ。
”俺たちの音楽は、 親の時代とは違う”と。

クィーンやウォーの曲を盛り込んで、
その時代の はやりの曲というイメージを狙った」。

世代によって音楽が違う、なんていうことを当時の人が本当に考えていたか
どうかはよくわかりませんが、 彼が言いたいことはなんとなくわかる気がします。
たとえばモーツァルトだって、今の感覚からすれば、ものすごく古典的な
音楽に聞こえますが、当時の人びとの耳には斬新なものに響いたはずです。
当時にとっての「斬新な感覚」をどう表現するか、というやり方のひとつとして、
こういう表現方法も(歴史学でやったらもちろんアウトですが)、作品としては
非常に面白いんじゃないかと、個人的には思います。

とにかく、西洋史関係の映画としては数少ない「おバカ映画」。
少年ジャンプも真っ青な「友情・努力・勝利」的ストーリーで、誰でも楽しめると思います!

6.「シンドラーのリスト」

打って変わってシリアスきわまるこの作品ですが、
現在「原典講読」のテキストとして、 キニーリーの原作を英語で読んでいます。

日本での公開は1994年ということで、私はちょうど浪人していた頃に見た
思い出の映画なのですが、学生の皆さんにとってはちょうど生まれた頃にあたる
ようです。
授業の最初に、この映画をすでに見たことがある人がどれくらいあるか尋ねたところ、
わずか一人、ということで、 改めてジェネレーション・ギャップを強く感じました。
あの頃はナチスやホロコーストに関する映画なんてあまりなくて、この作品が社会に
与えた影響も非常に大きかったと記憶しているのですが(大学の講義で、ナチスに触れる
先生はみなこの映画について語っていた)、今やナチ映画はひとつのジャンルとして確立
してしまった感があります。
むしろ数が多すぎて、どれから見ればよいのかわからない、くらいの状況

ですが、最初にナチ映画を見るのであれば、まずはこの映画から見ることをお薦めします。
この映画にはいろいろな批判がありますが、「歴史の重み」に直接触れるという意味で、
これほど手応えのある作品は、そうあるものではありません。
「原典購読」を取っていない人にも、是非とも時間のあるときに見てほしい!

7.「テルマエ・ロマエ」

「古代ローマ人と日本人って、お風呂好きっていう点で似てるよね!」
という思いつきもすごいし、
阿部寛をはじめ、濃い顔の日本人俳優にローマ人を演じさせるっていう
思いつきもすごいし、
その両方を力業で押し通しておきながら、不思議とどちらも説得力があるという
ところはもっとすごい。

個人的には、時空をワープするときのオペラ歌手の熱唱が、無理矢理感が
出ていてとても好きです。

ちなみに、この映画のセットは、テレビドラマ『ROME』のものを利用しているために、
臨場感ある素晴らしい絵に仕上がっているのですが、『ROME』自体も非常にお薦めです。
かな~りドロドロした暗いストーリー展開ですが、濃密な人間ドラマが満喫できます。
全22話もありますが、私はあまりに面白くて途中でやめられず、深夜だというのに
ぶっ続けで6話分見たりしていました・・・。