文楽2本~「鑓の権左重帷子」~ に続き、「奥州安達原」をご紹介します 😀 !
「奥州安達原」。近松半二他の合作、宝暦12年 (1762)9月竹本座初演。
今回は三段目、四段目の上演、壮大な作品でした。
三段目の通称‘袖萩祭文’が知られています。ちなみにその場面は、親の許さぬ恋で家を出、夫との生き別れ零落し、盲目になった袖萩が娘お君を連れて親を訪ね、雪の中、祭文で許しを請うところ。幼いお君が寒さのあまり癪をおこした母を気遣って自分の着物をかけたり、雪を口に含ませたりするところが哀れな場面です。
この作品は、源氏に倒された安倍貞任宗任らのお家再興の大望、企てが本筋としてあり、その中で袖萩や、安倍貞任宗任の妹恋絹など、女たちはそれに翻弄され、耐え、死んでいきます。
四段目一つ家の段、谷底の段は壮絶でした!
旅人を招き入れては殺して食べていたという安達原の鬼婆を再現していて、身ごもっている恋絹を殺し胎児の血を絞ります。人形でもこわいわ~ 😯
怖い分だけ悲しい結末があって、この鬼婆は安倍貞任宗任の母岩手で、殺した恋絹は自分の娘、胎児は孫だった。そうさせた理由は奥州に新たな政権を建てるため。けど失敗した岩手は我が子と孫を手にかけたことを悔いて谷底に身を投げるのでした。
今回は、袖萩祭文、こういう大きなお話だったのね~と、私の中で本筋の中に位置づけられ、すっきりしました。とにかく物語世界のスケールの大きさに驚きました。一方で登場する女子たちだけでなく、貞任、袖萩の父等男子達にも人としての苦悩や復讐への執念といった思いが垣間見えて、その対比がおもしろかった!
このような浄瑠璃の物語世界は深く、大勢の登場人物が出てきて筋も複雑に絡み合い、まあ、とてもわかりにくいのですが、細やかな手仕事のようにうまくできていてしみじみと心に響いてきます。だから、一人でじっくりかみしめつつの鑑賞、ひとり文楽がお勧めです。私はもちろん、これ。大阪、UFJもいいけどこちらもいかがですか ?