同音異義語

エジプト学を専攻している吉成です。唐突ですが、時代劇などで肺結核のことを「労咳ろうがい」と呼ぶのを聞いたことがあると思います。

もう10年以上も前になりますが、盛んに咳をなさっていた年配の女の先生にふざけて「労咳ですか?」と言ったことがありました。すると、そこに居合わせた助手さんが驚いたように呆れ顔で、私の方を見ているので、何か失敗をしたのかと考えて「ああそうか。」と思ったのは、その助手さんの語彙には労咳という単語はなく「ろうがい」というと「老害」という当時流行っていた単語が浮かんだのだということ、つまり私がその女の先生に「年を取って、世の中の迷惑でしょう。」と面と向かって揶揄したと理解したということでした。先生はその場の気まずい状況を感じ取られたのでしょう。「どう臈長けて美しくなったでしょう。」と返してくださいましたので、やっと安心しました。結核を煩うと肌が透ける様に白くなって、女性はどんどん美しくなっていくという話はよく聞きますので、それにひっかけて先生は答えてくださったということです。助手さんは了解してくれたのでしょうか。

何が言いたいかというと、言葉を使うとき、それと同音の言葉に気を付けないととんだ誤解をまねく可能性があるということ、同音異義語には注意しましょうということ、特に専門用語を使うときに専門外の人に気を使いましょうということでした。

(4月27日)