こんにちは。4年生の綿貫です!
6月21日に、長崎県五島列島 新上五島町で行われた「上五島神楽大祭」へ調査に行ったことを書かせてもらいます。
突然ですが、皆さんは「相撲」と聞いて何をイメージしますか…?
私は大相撲を観るのが大好きなので、身体の大きなお相撲さんが土俵の上で取り組んでいる姿が思い浮かびます(‘-‘*)
しかし!日本における「相撲」はスポーツとして勝ち負けを争うだけのものではありません!祭礼行事の中の1つとして、神様を喜ばせるために各地で「相撲」という名の様々な所作が行われてきました。
私は卒業論文のテーマとして、そういった「スポーツではない相撲」を取り扱っています。
そこで今回興味を持ったのは、「神楽の演目の1つとしての相撲・神相撲」です。
この「神相撲」は、西日本、特に九州地方を中心にみられます。
上五島神楽の演目にも「神相撲」が含まれているため、実際に見てみたいと思い、長崎県五島列島の1つである中通島へ向かいました(゚0゚)
五島列島には各地で「五島神楽」が伝わっており、その内容で大別すると現在7種類あります。中でも新上五島地区で伝承されている神楽は「上五島神楽」と呼ばれ、江戸時代から脈々と受け継がれてきました。
舞の種類は30番で、すべてが畳2枚分の板張りの上で舞われます!
神楽は主に、各神社の祭礼の日に奉納されます。しかしその際には30番すべては舞いません。そうなるとどうしても、客受けの良い演目や得意な演目ばかりを選んでしまいがちになり、その他の演目は伝承されなくなりやがて途絶えてしまいます。
これを防ぐため、そして島の人々に地元の伝統芸能を知ってもらうために、平成12年から年に1度、全30番を奉納することを目的とした祭りを新たに始めました。
今年は正彦神社で開催されましたが、毎年会場となる神社は変わるそうです。
そういったわけで、今回見学させていただいた「上五島神楽大祭」は上五島神楽のすべてが見られるとても良い機会です。
もちろん目当ての「神相撲」も見ることができました(‘-‘*)
側転や肩車などを行うとてもアクロバティックな演目で、見ていて面白かったです(ノ゚ο゚)ノ
餅をつく仕草をし、観客に紅白のお餅を撒いていました。
白熱したお餅の取り合いが見られました…!
長~い掛け合いや、ひとり語りが特徴的でした。
この他にも、地元の中学生の女の子5人が巫女装束を着て舞う「五方(ごほう)」や、両手に1枚ずつお盆をもって落とさないようにアクロバティックに舞う「折敷舞(おしきまい)」、天狗と獅子の戦いがコミカルな「獅子舞」など、まるでショーのような演目が多かったです。
今回の調査を企画・同行してくださった渡辺先生は、「山下舞(やましたまい)」と「将軍舞(しょうぐんまい)」に特に興味を持っておられました!
先生がご専門に研究されている、宮崎県椎葉村に伝わる神楽の中の「宿借り」という演目と、上五島神楽の「山下舞」は同じ「山の神が一夜の宿を乞う」という内容だそうです。
また、「将軍舞」は途中から急に太鼓のリズムが早くなり、舞い手の動きもそれにあわせてどんどん早くなっていき、突然高く飛び跳ねたところを係の人に取り押さえられて強制退場させられるという内容のものでした(ノ`□´)ノ
突然のことで本当にびっくりしましたが、こういう筋書きの演目であり、「神がかり」と呼ばれる一種の演出だそうです…!
上五島神楽は1番1番が短く、神楽大祭ではさらに省略して舞われていました。さらに内容もわかりやすく、リズミカルな曲調の演目ばかりで、神楽にあまり親しみのない私も純粋に「すごい!」「おもしろい!」と感動してしまいました。
また、子どもの頃から上五島神楽に慣れ親しんだ方たちが、手拍子や掛け声で舞い手を囃しており、会場の一体感が心地よかったです(*^^*)
現在、上五島神楽は国選択無形民俗文化財に指定されています。神楽保存会を中心に、重要無形民俗文化財に指定されることを目標にして日々活動されているとのことです。
ぜひ多くの人に知ってほしい神楽だと私も感じました。
上五島について、書きたいことや載せたい写真がたくさんあるのですが、今回は本来の目的であった神楽のことだけに絞って書かせてもらいました!
4日間、多くの方々にお世話になりました。本当にありがとうございました!