こんにちは!修士1年の青木です。
今回初めて歴文ブログを書かせていただきます、よろしくお願いします。
7月5日の日曜日に大谷津先生と歴文生と一緒に歌舞伎鑑賞教室へ行ってきました。
歌舞伎鑑賞教室は、国立劇場が毎年6、7月に行っているもので、前半に演目解説や歌舞伎の用語や独特の決まりについて、初めて観る人にも分かりやすく説明し、後半は歌舞伎の名作を良いとこ取りのダイジェスト版のようなかたちで上演してくれるとっっっても優しい公演です。
日曜日ということもあり客席はほぼ満席でした。
前半、中村萬太郎さんによって歌舞伎で使われる「附け打ち」と「下座音楽」についての解説がされました。
「附け打ち」は舞台の役者さんの役柄や場面に合わせて拍子木のような木で音をつけて、歌舞伎にメリハリを与える演出法です。
萬太郎さんが武士の動きで走ると、
「バタバタバタバタッ!!」
地面を叩くような派手な音がします。
うって変わってお姫様のように駆けつけると、
「パタパタパタパタ……」
今にも転んでしまいそうな、危ういようなテンポと軽い音。
な、なるほど。全然違う…!打ちつける音ひとつでこんなに変わるものなのかというくらい、違いが歴然です。
「下座音楽」
歌舞伎の舞台下手にある黒い小さな小屋のようなもの。その中に様々な楽器を持った人達がいて、舞台の状況に合わせた音楽や効果音を演奏します。
それが「下座音楽」。今回はその中から大太鼓を紹介。
大太鼓は自然現象を表します。
「トトトットトトッ」と雨の音
「ダダダダダッダッダッダッ…」と川の音
「ダダッ…ダダッ…」と海に流れ込む水の音。
更に中国の銅鑼と合わせて鳴らすと、
昔の船が銅鑼と太鼓の音を聞いて前後左右に移動していたことから海上戦での船の様子を表します。この後の演目では、この海上戦がクライマックスの場となるとのこと。
……ううん、期待が高まります!
お待ちかねの後半、演目はこちら!
『義経千本桜』というと、狐忠信や満開の桜、優美な舞台を思い浮かべる人が多いと思いますが、写真からわかる通りこちらは変わって海!忠義!切なさ!と悲哀溢れる内容となってます。
源平の戦いのあと、兄である源頼朝に終われる身となった義経。
瀬戸内海の廻船問屋の銀平夫婦は義経一行を匿い、船を出し義経一行を逃がします。しかし、銀平達の正体は、壇之浦で死んだとされていながら、実は生き残っていた平家の残党、平知盛と安徳天皇であったというまさかの展開。
義経達を追いかけ、壇之浦の再来のような戦の様子が先程の大太鼓と銅鑼によって表現されます。平家の仇を討とうとするも敵わず、瀕死の重傷を負いながら義経に保護された安徳天皇の無事を願い、巨大な錨と我が身を縄で結んで海に落ちていく知盛の悲哀と迫力は息を呑むものがありました。
終演後、参加した学生の感想を聞くと……
「はじめは言葉がわかるか不安だったけど、思っていたよりもわかりやすかった」
「事前に聞いていた通り大向うの声が聞こえてすごかった」
「戦いの場面が迫力があった」
「血まみれの知盛の必死さにうるっときた…」
などなど、今回は1、2年生が多かったにも関わらず、みんな展開や感動ポイントなどわかりやすかったようです。
中には目をウルウルさせている学生もいたりして、人が感動するものは時代を経ても変わらないものなんだろうなあと思いました。
ちなみに青木はラスト10分涙腺が緩みっぱなしで手を合わせながら泣いてました…。
鑑賞教室は今月の下旬までやってますので、是非ぜひ!オススメです。