こんにちは、松田です。小学校高学年のときに、京都市がやっていた「小学生発掘体験」企画に一度参加したことがあります。その時は、どんどん陶磁器がでてくるのが面白くて、最初の区画を越えて周囲まで掘り広げていた記憶があります。今回諏訪原遺跡の調査に参加して確信したこと、それは、あれは「遺跡を破壊していたのだ」ということです!笑 無知は怖い!
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さて、前回紹介した1~2年生のみなさんの話にはたくさんの現場用語がでてきました。私の分かる範囲内で解説したいと思います。間違っていたら学生のみなさんが指摘してくれることでしょう。
まずは「現場で活躍する道具たち」をみてみましょう。
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「ねこ」・・・ねこ車。工事現場でよくみかける例のアレ。掘り出した土や石を満載して、土山まで持っていきます。「『ねこが楽しい』って、どういうことやねん!!」と思った方は現場に行くしかないね!いや、楽しいんだ、これが笑
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「エンピ」・・・スコップの一種。硬い土も掘れるように先がとがっています。「『エンピが楽しい』って、どういうことやねん!!」と思った方はこれまた現場に行くしかないね!私はエンピ作業に全身の筋肉をやられました!
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「み」・・・掘り出した土を貯めて置いたり、運んだりするための容器。本来の用途以外にも、いろいろな道具の日よけに使ったり、遺構の穴を養生するのに使ったりと、大活躍。発掘現場で一番けなげに働く道具でした!
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「移植」・・・園芸でお馴染みの移植ごても現場では大活躍。「遺跡を掘り進むときは、地面をこするのではなく、刃先を使って手首のスナップを利かせて掘る。新しく堀った面が常に見えるようにすれば、なにか出てきたときすぐに分かるから!」と教えて頂きました。最初は全然要領がつかめないのですが、なんとなーく、できるようになってくると、すごく嬉しいんだよね!
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「竹べら」・・・移植で掘っていって、何か堅いモノに当たったときには遺物を傷めないように竹べらに切り替えます。竹べらでモノの周りの土を取りのぞいていく瞬間は本当にワクワクします!
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「竹ぐし」・・・普通の竹ぐしです。土器や石器などの遺物が頭を出してきたとき、位置を他のメンバーに知らせ、注意を促すために地面に刺します。写真は竹ぐしで位置をマークした土器を竹べらでさらに掘り進んでいるところですね。竹ぐしを刺された遺物は「ナンバーさん」の証しでもあります。「ナンバーさん」ってなんだと思われた方は次の記事を待て!
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「画板」・・・図工の時間に使った例のアレ。考古学において、とても重要な図面を扱うための道具ですから「画板を絶対に汚さないように慎重に扱おう!」と先輩たちからの指示が飛んでいました。
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「土のう」・・・発掘現場の陰の主役であり、そしてラスボスでもある土のう。発掘期間中は、遺跡を保護するためのブルーシートの押さえに使ったり、ピット(かつての穴の跡)を保護するために用いています。また発掘期間が終われば翌年まで遺跡を保護しておかねばなりません。そのため竪穴住居の住居跡全体を土のうで埋め尽くして、遺跡が傷まないようにしているのだとのこと。最近追加購入された土のうの数はなんと800袋・・・。ひょえ~。
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「野帳」・・・発掘調査野帳。昭和女子大学歴史文化学科の刻印が付された限定版のメモ帳です。全員が持ち歩いています。松田は1日だけの参加ですが、想い出の集合写真を貼っておきました!
野帳の使い方を3年生、4年生に解説して頂きました。(後半は話が混線していてごめんなさい・・・)
【歴文らじお】表紙と裏表紙に水性マジックで書き込める/遺跡の図を書き写す/プリントも貼り付けていく/野帳をみれば全てが分かるようにする/他のグループの進行状況も記録する/PCにデータを貯えるだけではなく、使えるデータとして共有する/光波の話
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「光波(こうは)」・・・光波測距儀のこと。遺物が発見された位置と標高をmm単位で測定するための電子機器です。左の写真の緑の機械から光を発射し、右の写真の矢印のところについているミラー(反射プリズム)にあてます。その反射光が帰ってくるのにかかる時間と角度を測定して、遺物の位置を特定してコンピュータに記録します。今回光波班に入った学生は、調査準備の段階で、数十時間にもわたる勉強会で、使い方を訓練して現場に乗り込んだそうです。
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現場では他にもいろいろな道具が使われていましたが、松田が把握できたのはこのくらい。学生のみなさんはそれぞれの道具を大事に使いながら、発掘を進めていましたよ!