古代史の勉強の仕方 [2015年10月22日(木)]

古代エジプト史を専攻している吉成です。

最近読んだ本を紹介したいと思います。笹山晴生『古代をあゆむ』吉川弘文館2500-です。筆者は日本古代史を専門とする東京大学の名誉教授で、今まで文章や講演のかたちで発表してきたものの中から選んだ9篇をまとめた本だということで、第Ⅰ章は「古代史を見る目」と題し、「日本古代史と飛鳥」、「古代の資料を読む」、「畿内王権論」という文章が収められ、第Ⅱ章は「地域史と日本・アジア」と題し、「古代出羽の史的位置」、「東北の古代社会と律令制」、「鞠智城と古代の西海道」、「景行天皇の九州巡幸説話」という文章が、第Ⅲ章では「先学に学ぶ」と題し、日本古代史研究家である坂本太郎と井上光貞の評伝が収められています。

私の専門分野は古代エジプトですが、他の分野の古代史家の書いたものに興味があり、よく読みます。今回もそうした読書でしたが、皆さんの参考になるかもしれない件りを見つけましたので紹介しておきたいと考えました。

本書の第Ⅰ章の「古代の史料を読む」は学習院大学文学部史学科の『歴史遊学』平成13年版に書かれたものだそうですが、古代史を勉強するための「基礎的な知識と修練」、「史料の諸相」として古代の史料を読むために必要と思われる基礎的なことが色々と書かれています。そこで強調されているのは、そうした基礎は高等学校で学んで修得しているはずだが、不充分だと感じたら一・二年生のうちに復習し、しっかり勉強してほしいということ。さらに、文献史学から知られる事実を考古学の研究成果と安易に結びつけることは慎まなければならないことが強調されています。

古代史に関心をもつきっかけは様々であろうが、ほんとうに古代史を勉強しようと思ったら、きびしい修練が必要であると書かれていて、自分のことを顧みると、史料の状況があいまいであることをいいことに、研究の方法論の厳密さを疎かにしているのではないかと、反省を促されている様に感じました。先達の文章を読むことで、自分の姿勢を立て直す機会が得られるのは、何よりも有難いことだと思います。皆さんにも先学の言葉を意識して求め、軌道修正を心がけて欲しいと思いました。

(10月22日)