みなさま、こんにちは。日本近現代史担当の松田忍です。最近は歴文でも留学をする学生が着々と増えております。そんななか、上海交通大学へ1年間の留学をなさった天野さんにインタビューしていました。天野さんは現在もうご帰国になっていらっしゃいますが、留学中におこなったインタビューとなります。
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――天野さんこんばんはー。こちらが夜の8時だから上海は7時かな?元気にしてる?
――本当に充実した留学生活を送っていらっしゃると聞いて、今日はLINEでインタビューさせてください。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
――昭和女子の学期で考えると、2年生の後期から3年生の前期までの1年間の留学になるんだけど、正味でいうと?
上海に着いたのが2015年9月8日で、帰国予定日が2016年6月28日だから正味10ヶ月ですね。
――今年の年明けには一度帰国して挨拶しに来てくれたよね。
はい。春節の2月あたりには1ヶ月間日本に一時帰国していました。
――歴史文化学科としては、だいたい卒業までの単位取得見込みがなんとなく見えてくる2年後期、そしてゼミが始まったばかりの3年前期あたりの留学をお勧めしているんだけど、実際どう?
特に意識して2年の後期を選んだわけではありません。留学に行こうと決めた1年の後期には、一番早くても2年後期からの留学になってしまっただけです。今考えると、中国は秋入学なので、区切りとしては丁度いいタイミングだったかもしれませんね。
――松田の印象だと、天野さんはドーンといきなり1年留学にチャレンジしたイメージなんだけど、そもそも海外ははじめてだったの?
ボストン、ハワイ、グアムへ行った経験があります。最長はアメリカのボストンの2週間程度で、学校の行事としてクラスメイトと行きました。
――上海交通大学は外国人を専門に受け入れる部署があるから世界中から留学生が来ていると聞いたんだけど、どんな国の人と友達になった?
人数が多い順で言うと、中国人、タイ人、日本人、韓国人、フランス人、アメリカ人、オーストラリア人、カナダ人、ドイツ人……
――おいおい、ものすごいな!
まだいますよ笑 インドネシア人、アルジェリア人、イタリア人、イギリス人、ウガンダ人……特に仲のよい友達は、中国人、韓国人、フランス人です。
――中国語が上達するまではわりと英語も使って英語の力がついたという先輩もいるんだけど、どう?
よほど英語が得意な人同士だったり、中国語があまり話せない人、あるいは同じ国出身の人同士での会話以外、どこの国の人であっても中国語を使って会話するのが常識ですねえ。まあ英語力は少しだけ身につきました。
――まあ、そんな刺激的なところに、最初に留学しようと思ったときはいつ?具体的なきっかけは?
大学1年の7月ごろに先輩の留学体験談を伺ったのがきっかけです。その先輩は、わたしと同じように1年間上海で留学していました。
――あ、それ遠藤さんだよね?
はい、そうです。
――そうかー、遠藤さんの経験がつながっているのね。
話を聞いていて、留学に行かないという理由が無くなったので行くことに決めました。
――本当に前向きの発想いいよね。で、天野さんが2年生だった時のクラスアドバイザーが松田だったので、いろいろとお話ししたわけですね。留学してなおかつ4年で卒業するための単位の取り方とか。
はい。
――最初は半期(2年後期)の留学計画だったのを延長して、さらに半年伸ばしたんだけど、留学延長しようと思った理由は?親御さんは賛成してくれた?
延長自体は反対されませんでした。半年の留学期間が折り返しを迎えたときに、このままでは中国語の語学力が目標まで到達せず、帰国してもそのまま衰えていきそうだったので延長しました。親は反対しませんでした。お金の問題も、奨学金が申請期間の問題でもらえないと分かっていましたが、それでも語学上達のためと賛成してくれました。
――やはり親御さんの賛成がより良い留学のための条件だよね。天野さんの一個下の学年からは、入学式のあとに保護者の皆さんに研究館に集まっていただき、昭和女子と歴文の留学プログラム説明会を開くようになったんだけど、結構好評だね。
そうなんですか。
――で、問題の中国語の上達はどんな感じ?
現地で生活し始めてからは驚異的に伸びました。それでもまだまだと感じることがしょっちゅうあります。
――ふむふむ。
中国語を学習する上で、他の外国語には無い特徴的な難しさを挙げるとすれば、それはかなり濃い訛りが存在するということです。中国は広大で、地域によって全く違う言葉を話します。標準語とされる北京語を中国人はみな話せますが、訛りが影響していることも多く、外国人にはかなりの難関となります。訛りの混じった中国人の標準語を聞くと、自分のほうが発音がいいと感じますね。
――そうなのか笑
あとは実践と教科書ではかなり違うと感じました。今年の秋には、日本でHSKという中国語試験の一番メジャーなものを受けようと考えています。6級が最高ランクとなっています。現在はHSK6級の300点満点中、9割を目指して勉強しています。
――留学の醍醐味は勉強に加えて、文化の体感もあると思うんだけど、上海市内を歩いた時のことをこないだ写真付きのラインで教えてくれたよね。ほかには中国でどんなところ回った?
北京、南京、山東、蘇州、杭州、無錫、鳥鎮、上海市内を回りましたよ。
――特に良かったのは?
北京が一番面白かったです!!わたしが行ったのは5月中旬で、ニュースで見ていた空気の汚さは全く感じられず、青い空が澄み渡っていました。北京ダックももちろん食べました。また食べたいですね。中国人と一緒に旅行ツアー会社に参加したおかげで、中国語の勉強にもなりましたし、自分で計画を立てずとも連れて行ってもらえるのもありがたかったです。
――この写真は北京の天安門広場だね。
はい、北京旅行へ行ったときのものです。友達と一緒に行く予定だったのに、友だちが突然行けなくなってしまったために一人で行きました。かなり天候が良く、マスクは一回も着用する必要がありませんでした。天安門前で同じツアーを利用したことで仲良くなった友達に写真を撮ってもらいました。上海の人と言葉の表現の違いがあることに気付けたのが、中国語を勉強していて得られた喜びでした。やはり上海人の標準語より聞き取りやすいです…笑。毛沢東の冷凍遺体なども見たり、北京ダックを食べたり、本場ならではの経験ができて楽しかったです。
――北京だと泊まりがけになるよね?
北京で3泊4日、山東で1泊2日、南京で1泊2日とまりがけの旅行をしました。山東は旅行というよりは剣道の試合をしに行ったのが目的なので、観光は湖を見に行ったくらいですかね。
――剣道??
週に二回ほど剣道を習い事として習っています。学校とは関係なく、中国人の友達に見つけてもらった道場に通っていて、剣道の道具は一部を日本から持参して、一部を先生から貸していただきました。
――これまた楽しそうな写真だね~
山東で行なわれた剣道の団体戦で優勝したときの写真です。正式な試合のもので、日本から剣道連盟の方も主催者として参加されていました。個人戦は申し込み期間の問題で参加できませんでしたが、団体戦ではみんなでちからを合わせて優勝することができました!剣道をしている人口は中国ではかなり少ないですが、それでも徐々に増えていると感じています。剣道を中国でも始めたおかげで日本好きの中国人とたくさん友達になれました。週末には中国の将棋をたまにおじいさんから習い、代わりに日本語を教えています。
――すごいなー!あとは生活面でのことをざっくばらんに。
わたしの寮にはキッチンが無いので、毎日外食あるいは学校の食堂で済ませます。
――そうなんかー。
色々な国の友達を作ったので、それぞれの国の言葉などを教えてもらっています。単語自体は分からなくても、会話の内容をつかめたりするくらいには分かることも出てきました。以前はタイ人と仲良くさせてもらって、今はフランス人と韓国人と仲良くさせてもらっているので、今はまだ何をいっているのかさっぱりだったりしますが、もし勉強し始めれば、タイ語、フランス語、韓国語のリスニング力は身についているんじゃないかとおもいます。
放課後は友達と食事に行き、買いものに行き、おしゃべりなどをしてすごしています。
勉強は…まあそこそこですかね。笑
――ありがとう。いやあ、留学最高!留学楽しい!と天野さんは言い続けていたので、なんとなく察していましたが、本当に充実していますね。
――後輩や昭和女子を目指す受験生になにかメッセージを。
大学の4年間は結構時間があります。大学でやるべきことを濃密に3年間に詰め込んで、残りの1年間を有意義に使うのも手だと思います。わたしはその1年間を留学に費やしました。ほかの事に費やしてもいいですよね。自分には、留学が一番の有効活用だったと思います。
――正直帰りたくない??
帰りたい気持ちと帰りたくない気持ちの半分半分です!!帰ってしまったらこの生活は二度と戻らないでしょうし、たくさんの友人と別れることにもなります。もっと上海にいたら中国語の上達もまたさらにあがるとも思います。しかし日本で待っている家族や友人のことを考えると帰りたい気持ちも出てきますね。やはり半分半分です。
――いまのところ、帰国したら日本近現代史ゼミに入る予定だよね?卒論なにやる?
それがまだ決めかねていて困っています……。ただ、中国・韓国・日本の三国に関連したものを扱いたいと考えています。方面としては経済を絡めた政治的な内容を、中国語と韓国語の資料も取り入れたものにしたいと思っています。
――歴文といいながらもかなり現代的な視点を盛り込んだ論文を書きたいんだよね?
歴史文化学科には、歴史という名目の上で何でも好きなことを学べる学科だと、わたしは認識して所属しているので、歴史だからとかは考えずに論文を書くつもりです。おそらくかなり現代的な内容になるかと思いますが、誰かから歴史なの?って聞かれてもこれも文化だよねって言ってむりやり書こうと思っています。笑
――パワーアップした天野さんが帰ってきて、ゼミを盛り立ててくれるのを、本当に楽しみにしてるよ!
わたしよりも他のゼミ生のほうが今は先を行っているので、始めは足を引っ張るかもしれませんが、別の場所ですごしてきたことで得たものをお互いに影響させていきたいですね!
――それでは長時間にわたって本当にありがとうございました!あと2週間悔いのないように頑張ってね!