【授業紹介】歴史学概論2016 その2 [2016年07月30日(土)]

こんにちは、松田です。

歴史学概論の授業紹介続きです。

今年の歴史学概論ではパネルディスカッションを2回行いました。さまざまな分野を学ぶ、歴文3年生、4年生の先輩たちを6~7人呼んで、テーマに沿った徹底討論をしてもらい、その議論を聞くことで、これからの歴文での学びの進め方について、イメージを深めてもらいました。

歴文4年生によるパネルディスカッション「歴史と価値観の関係 ~歴史は客観的であるべきなのか?それとも主観的であってもよいのか?~」(2016年5月9日開催)の模様。

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卒論研究を進めつつある4年生の先輩が、「主観」と「客観」の問題をどのように考えて、自らの研究を進めているのかを語り、討論してくれました。

たとえば西洋美術史を専攻しているNさんは、美術作品に対する「感想文」と「論文」との違いについて、分かりやすい事例を挙げながら語ってくれ、また江戸時代の小名を研究するKさんは先行研究が多いテーマと少ないテーマで研究の進め方が変わってくるという話を熱弁して下さいました。西洋史を学ぶHさんが、ドイツやフランスで、国家の枠組みを超えた歴史教科書をつくる話があることを紹介して下さったのも面白かったです!

他の4年生も、「仮説」をたてて「史料・資料」にぶつけ、また「仮説」を練り直し、客観性を高めていくことについて、それぞれの研究の実例を挙げて話して下さったので、1年生たちにも、とても良く伝わったのではないかと思います。

それぞれ価値観の問題に濃厚に関わってくる重要な話であります。

さらに、高校での歴史教育と大学での歴史研究の違いについて感じていることなども話題に。さすが歴文で4年間研鑽してきた歴文生だけあり語り方がうまい!多数の4年生がそれぞれ思うところをぶつけあってくださって、たいへん面白かったですね。

「主観」と「客観」は1年生のみなさんがとても興味をもってくれた話題であり、熱のこもった授業となりました。

つづいて歴文3年生によるパネルディスカッション「歴文での学びは社会の役に立つか」(2016年6月20日開催)の様子。

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3年生たちは、すでに3年生の必修科目「歴史文化と社会」において、このテーマに関するKJ法、プレゼン、ディベートを経験して考えを深めており、それぞれ熱い想いを持った状態で、パネルディスカッションに臨んでくださいました。歴史研究が生みだす社会的価値、歴文のゼミで身につく力、日本の歴史教育のあり方、そしてナショナリズムと歴史学の関係まで話は広がり、たいへん有意義なパネルとなりました!3年生からはゼミに所属しており、専攻する分野を確定して研究を進めておりますので、分野ごとに身につく力の違いにも留意しながら、それぞれの学問分野の厳しさと楽しさを1年生たちに伝えて下さいました。

歴史文化学科に入るにあたって、多くの人が「歴史なんてやって何の役に立つの?」「就職どうすんの?」といった問いと格闘してきているわけです。しかし歴文での学びを通じて、確かに成長し、そのことを力強く語る先輩たちの姿に、1年生のみなさんも励まされ、多くの刺激を受けていたようでありました。

さてこのような形で運営しております歴史学概論ですが、15回の授業の最後には、歴史学概論で身についた力をコメントシートにまとめてもらい、お互いに書いた内容を紹介して、共有し合い、授業の成果を確認しあいました。そのメモの一部を紹介します。といってもみなさん良い意見を書いてくれていて絞れない!!笑 めっちゃ長くなりますが、お目通し下さいませ。授業のアツさが伝わると思いますよ。

【以下、学生のみなさんからのコメント】

歴史に対しての考え方が変わったと思います。「好きなもの」から「追究したいもの」になったり、まず「歴史学んでどうするの?」という考えはなくなりました。歴史を知って今を変える、歴史があるから同じことを繰り返さない。「短い期間でみたら意味のないようなことに思えても、長い期間でみたときに、大きな変化をもたらしている」ことを実感することが増えたし、その積み重ねを私もしていると思うと、「歴史って深い。歴史を一言におさめてしまうのはもったいない」と思いました。この面白さを誰かと共有したいです。

今まで受け身のままで歴史の流れを知ったつもりになっていたけれど、この授業のなかでの問いかけや、レポートの作成にあたって本当に悩み、歴史を知るというだけにとどまらず、歴史を自ら考えながら、まなざしを向けることが出来たと思う。事実として受けとめるだけでなく、そこから発展した考えをレポートにしていく過程で、自分の歴史観というものを少しでも見つけ出せた気がした。また「客観か主観か」のレポートでは、視野が広がった感じがした。疑問を抱いて深く考えるのが楽しいと感じられる授業でした!!

歴史学概論を受講したことで、これからの学びの基礎ができたような気がした。受講前までは歴史を客観的にみているのか、主観的にみているのかなんて考えたこともなかったため、学ぶことが多かった。

一つのことを色んな角度からみたり、自分と違う意見や参考になる意見もたくさん知れてよかったです。同じ史料をみていても、1人1人の見方や意見が違うことに気づいたり、自分では気づけなかったことに注目する人がいることを知ることができ、大人数ならではの授業でした。

歴史についての認識が大きく変わった。中学、高校の授業で習い、単語を覚えるだけの教科という印象が強く、そのこと自体は私もすきであったが、教科書に書かれていること、教えられることを疑わず、それを事実として鵜呑みにしてきた。この授業を受けた今では、「歴史」とは、事実か事実でないか、どの事実を取り上げるべきか、など様々な面で考え、頭を使うものというように認識が変わった。

先生の話を聞く度に、歴史の見方が変わり、一つの出来事にもどの視点から見るかで価値観も大きく変わることが分かった。……

……今まで自分で問題点を探してそのことについて調べていくということをしてこなかったので、大学の授業らしく自分で疑問に思ったことを追い求めていく作業ができて楽しかった。

今までは漠然と史料をよむだけだったが、立場を変えて考えたり、頭を使いながら読めるようになった。史料に対して能動的に取り組むようになったと思う。授業は全てとても面白かった。自分の考えを導き出すことがとても楽しく、(マイクを回して発言する)他の人との意見と自分の意見の違いの差がとても面白かった。……

……大事なこと。「過去」を「歴史」にすること。「記録」を「史料」にすること。……

歴史に対する物の見方は様々であることを知ったのが一番大きかったかなと思います。教科書を丸暗記にするのではなく、自分が物事に対し、視線を投げかけることはこの授業で初めてやったし、学んだことでした。

初回の授業と今とでは歴史についての考え方が変わったと思う。最初の方では、歴史は、昔について、その出来事を覚えたり、知ったりする受動的な学問だと思っていたし、大学では先生の話を聞いて知ることがほとんどだと思っていた。実際には、歴史は、答えがないことについて、自分で考え、追究していく能動的な学問なんだと思った。だからこそ、自分の考えを自由に持てることが楽しいと知った。これからはその自分の考えにもっと自信をもって発信できるように学びを深めていきたい。

与えられた結論で納得したり、受け身的にものごとをとらえるのではなく、自分で情報を選択して、作り出して、考えを深めることの大切さを学べた。これは歴史学だけでなく、社会生活一般においてもかなりあてはまると思う。

歴史学概論の授業を通して、今まではただ漠然と「歴史が好き」と思っていたものが、どうして自分は歴史が好きなのだろうと考え、歴史を学ぶことの意味を知れたような気がします。初めてのレポートに少し不安もあったのですが、書き方を詳しく説明して下さったので安心できました。

歴史に対する視野がすごく広がったと思う。歴史を客観的に見るか、主観的に見るかを考えたことで、客観的に視ているつもりでいたものも実は思いっきり主観が入っていたりして、歴史を語る上で気をつけるべき事を学んだ。また過去のことを考えるには、当時の人々の立場や考えを理解しないと、本当のことは分からないと言うことを知った。……

……歴史研究に対する自分なりの意識の変化があった。……二つ目のレポートでの日記史料や、戦後直後の教科書分析、戦後の世論調査分析といった史料に触れることで、当時のリアルな様子や生活について、自分で感じることができたのが、これが一番良かったです。

歴史とはつまるところ解釈の問題であると思った。物事をどのような視点でみていくか!という焦点の当て方の様々な事例に触れることができた15回の授業であった。すべての事例を自分の中で消化できたとは思わないが、こんな見方があるという事実は、これから先も自分のなかに残っていくと思った。

ランケやクローチェなどの歴史学者の歴史観に触れ、歴史に対する新しい考え方が出来て良かったなと思いました。第一回の「歴史と過去の違い」なんて考えたこともなかったし、最初はよく違いも分からなかったけれど、他の人の意見をマイクやラインで聞いて、なるほどと思えたり、自分と違う意見を聞けたりした点でも面白いなと思いました。

歴史を考える能力が身についたと思います。すでに3、4年間大学で歴史を学んでいる先輩方の話を聞いたときに、(卒論研究をする際に)仮定という主観から入るけれど、史料を読むときは客観でなければならないという言葉が、私からレポートなどで考えるときの目標や指針のようになりました。

また授業で配られるリアクションペーパーのまとめや、先輩たちのパネルディスカッションなどをつうじて、 同じものを見聞きしていても、他の人の視点はそれぞれ異なっていると気づき、驚くと同時に、そのことを忘れずに、これから自分の意見を深め、外に発信して行かなければならないと思った。

今までテストのために暗記して、自分の興味のある事柄を調べたり見たりするだけでしたが、「歴史する」という感覚、歴史は自分から動く主体的な学問なんだと分かりました。また先輩のお話を聞く機会をたくさん設けていただいたことで、自分が今何を学べばいいのか、今後に向けてどんな準備をすれば良いかが分かった。私は戦後の理科教科書の見比べがとても楽しかったです。戦後で大人たちも混乱していたのが手に取るようにわかって、一層歴史を身近に感じることができました。また他の人のリアクションペーパーをまとめてくださったことで、先生だけじゃない、私以外の学生が全員先生のように感じました。……

第1講で学んだ「歴史と過去の違い」、第4講で学んだ「歴史と価値観について」が印象に残っています。歴史と過去は日常的によく使われることばですが、しっかりと意味を考えて使っている人は少ないと思いますし、考えなくても使えますが、それをあえて考えることで歴史の姿が分かった気がします。……

この授業を受けて、私はものの見方が変わったと思います。過去に対してまなざしを向けなくては、過去は過去のままで歴史にはなり得ないと学んでから、自分の中に入ってきた情報や知識はあくまで自分の認識や主観によるものであって、他の人からは自分と同じようには見えていないのかもしれないということを考えるようになりました。人によって組み立てる歴史像が異なって、歴史は本当に人の手で作られているのだなと実感しました。

歴史学概論は授業もレポートも私にとって難しかったけれど、大学の入って最初の最初に、この授業を受けることができて良かったと思っています。史料から当時の価値観を読み取ったり、同じ授業を受けて同じ史料を読んでも、周りの人と意見や結論が全く違って驚いたりしたこの経験はこれから大学で歴史を学び、発信する側になるのにとても大切だと思っています。

私が歴史学概論で身に着けた考え方は、歴史の見方は一つではなく「まなざし」を届ければいろいろな考え方がでてきて、それを話し合うことで、さらに物事に対する考えが深くなっていくということです。個人的に好きだった回は「学問とマニアの違い」の回と、戦時期に生きた若い男女の日記から読み取る回でした。

……歴史学というのは暗記だと思っていたので、考え方がだいぶ変わりました。歴史の生産者になりたいです。

この授業を受けていなければ、歴史に「まなざし」を向けるということをしていなかったと思います。第3講の授業で、以前でしたら戦後の理科の教科書を見たとしても、きっと「疑問」しか持たなかったと思います。ですが、この授業では「なぜそうなのか?」「なぜそのようなのか?」ということを考えました。そうすることで、当時の状況などを、誰かがまとめて書いた本ではなく、史料である理科の教科書から読み取れました。さまざまな視点から物事を読み取る力が身についたと思います。

普通に生活してたら絶対に触れないような史料(資料)を読んで、読めるようになった。理解できなくてもなんとか飲み込もうと自分なりに少しずつ噛み砕いていくようになった。小さな疑問点を見つけ、関連させ、考えられるようになった。論理的で的確なことばでないと伝わらないことがわかった。そして歴史学は十人十色だった。……

「考える→根拠を求める→さらに考える」という積み重ねが歴史学だとしった。「きけ わだつみのこえ」にどの学生の遺書をどんな割合で載せればいいのかを考えたときも、自分の考えた割合によって、世論の動きが変わっていくと思うと、出版の責任は今も昔もとても大変だと思った。今までは歴史を学ぶ意味を答えることができなかったけど、15回授業をして、昔があるから今があり、今があるから昔が歴史になることを知れたので、今後友人に何か言われても「趣味の延長戦で歴史をやっているわけではなく、今を歴史にするために学んでいるんだ」と言い返そうと思った。

歴史は建築に似ていて、その建物を築いていくのは良くも悪くも私たちのような過去を見ている人たちの手による。よって、どうあっても主観的な部分は抜くことはできない。しかしそのことを恐れて歴史を語らないことは、過去を忘れてしまうことや史料を失うこと、そしてそれらに付随した“価値”を損なうことになる。……

「歴史とは何か」というこの授業のテーマはとても難しいと思っていたけど、授業を通して、客観的・主観的とか、目線や立場の違いなどによって歴史の解釈のしかたは何通りでもあると学んだ。レポートの書き方や引用などの基本的な知識も身についた。今までは単に好きだからとか趣味で勉強していた歴史だけど、大学では学問として研究として学ぶというのを実感しました。

……先輩のパネルディスカッションのなかで、「人の考え(客観)をとりいれて、自分の主観になることもある」ということがでて、様々な視点やまなざしを持っていくことの重要性に気づきました。……今まで知らなかった歴史の見方をこの授業で学ぶことができ、今後の自分の学びに活かすことが出来るなと思いました。

もともと「「歴史」が好き」と思っていたけど、歴史学のあり方を学ぶことで、より深く「歴史とは何か」について知ることができた。ただ単に今まで起きたことを学ぶだけではなく、その当時の人々の考え方や思いを知ったり、いろいろな歴史家の「歴史の捉え方」を知ることで、客観的に歴史をみることやとらえることの大事さを知ることが出来た気がする。歴史は探究すればするほど面白い学問だと思う。「まなざし」の当て方をどうしていくかで、様々な観点がでてくることも知ることができた。

今まで独学でやっていた歴史学の整理、歴史学の入門ができた。……先輩方をまねいてのパネルディスカッションはすごく面白かったし、視野が広がったと思います。一つの歴史的事実から様々な人(当時)の考えが学べたのはとても新鮮だった。……

能動的に考えることが少しだけかもしれないけれどできるようになったのかな?と思う。一方向から見たものをそのまま額面通りに受け取るのではなく、できるだけいろんな角度(史料)から読み取ろうとする能動的な姿勢。……この授業は歴史を自分で組み上げていく生産者としてこれからやっていく上で、毎回振り返るスタート地点となったと思う。

【1年生のコメントおわり】

いかがでしたでしょうか?

高校生から大学生へ、勉強から研究へ、と思考モードをチェンジしながら、自らが専攻する歴史学への想いを新たにしている1年生の姿をみると、本当に応援したくなります。

これから長い時間を掛けて、概論系の授業で知識を深め、方法論系の授業で学問の進め方を学び、そして特論系の授業で個別的な論点の掘り下げ方を習得して、さらに3年次からはゼミへと入って、卒論研究に取りかかるようになります。

今のフレッシュな気持ちをもちつつ、長い道のりを一歩一歩歩んでいって欲しいなと思います。

1年生のみなさんに幸あれ!幸あれ!!

そして受験生のみなさん、歴史を学ぶ意味を実感しながら喜びを持って勉強を進められる、昭和女子の歴史文化学科に是非いらしてくださいませ!