卒業論文(卒論)について

エジプト学を専攻している吉成です。

今月は卒論の中間発表会が行われます。4年生が一人ずつ、自分の卒論のテーマと進捗(しんちょく)状況を発表する会で、これをきっかけに、来年1月の提出を目ざして卒論執筆活動が本格化します。

卒論は論文です。論文なんか自分に書けるのかなあと不安に思う人もいると思います。卒論は卒業要件になっていて、書いて出さないことには卒業出来ないことで余計に心配する向きもあるかと思います。それは大丈夫です。大学では1年の基礎ゼミから始めて、演習を通し、研究する姿勢や方法が教えられます。また、先行研究を読むことで、論文の具体的な形態や細かな約束事を知ることができます。要は本人の意識次第ということです。

ここで触れておきたいのは、論文とレポートの違いについてです。論文はその名の通り「論じる」ものでなくてはなりません。つまり、何か疑問を提示し、その答えを見出すために様々な調査・研究を行い、理論的な分析を通して、結論を導き出す必要があります。レポートは何かについて調べて、様々な事実を整理して示せば良いという様なところがありますので、これがレポートと論文の大きな違いということになります。だから論文を書くには疑問(問題点)を見つけ出し、それを論理的に解決するための手段(研究法)が重要になります。大学に入学したら、卒論に向けて、そうしたものを見出し、運用できる能力を身につける努力を日頃から行なってもらいたいと思います。

毎年、百本前後の卒論が提出されますが、そのうちの数本は秀評価を受けます。秀評価というのは、その学問分野の研究として充分評価の対象となる内容を持っているということ、言いかえれば学界に一石を投じる成果だと認められたと言うことになります。確かに卒論には、歴史文化研究という学問の依って立つところを知るために、研究の実際を体験させるという意味があり、そのために学生全員に課しているのですし、卒業して全員が研究者になるわけではないので、適当にやればいいやと考える人も居ると思いますが、一生に一度数ヶ月間だけでも全身全霊を打ち込んで頑張る機会が持てると考えて対処して欲しいと思います。あの時は頑張ったなぁと思い起こせる様にして下さい。