学科紹介記事の続きです。
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【松田】
さて歴文の特色の2つ目です。歴文のキーワードは「手で考え、足で見る」です。実践力を鍛える実習系授業が充実しています。
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【松田】
夏休みには集中講義として、大谷津先生の「伝統芸能実習」が開講されているよね。吉村さんはたしか受講していたと思うけれどもどんな授業ですか?
【吉村】
相模人形芝居の伝承に取り組んでいらっしゃる下中座の先生方にお越し頂きまして、人形遣いの方法を実践的に学ぶ授業です。
【松田】
吉村さんは1年生のときにこの授業を履修していたよね?
【吉村】
はい、私は高校3年のときに歴文のオープンキャンパスに参加しました。その時は今日とは逆で、(芸能史の)大谷津先生が授業紹介をなさっていて、松田先生が体験授業だったのですが、そこで「伝統芸能実習」の授業のことが紹介されていて、入学したら絶対に履修しようと思っていたので、1年生の最初のタイミングで履修しました。
【松田】
実際に受けてみてどうだった?
【吉村】
観客として人形浄瑠璃を観る時とは違い、演ずる側としてのさまざまな工夫を知ることが出来ました。それを含めて、また浄瑠璃を観たときに、気づくポイントが多くなって、観劇の幅も、伝統芸能に対する理解も格段に広がったと思います。
【松田】
人形は「顔が命」ってことも知ったんだよね?
【吉村】
はい。下中座の先生方が人形をとても大事に扱っていらっしゃることが印象に残りました。人形は自由に触れることができたのですが、顔だけは絶対に触れてはいけないといわれました。ほんの少しでも手の脂がつくと、そこから劣化がはじまっていくとのことでした。そういうことも実際に人形に接してみないと分からないことですので。歴文ならではの本当に良い授業だったと思います。
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【松田】
このスライドは考古学実習Bの授業風景です。写真からもわかるように、出土した土器や石器を実測して図面に落とし込むための専門的な方法を学んでいます。本当に細かくスケッチをしていることがわかりますね。
歴文というと、発掘現場を持っていて考古学の本格的な学びができることが特徴にあるわけですが、考古学は「ただ掘ればいい」ってことじゃないんだよね。考古学を専攻する学生たちによりますと、発掘のための入念な準備作業、発掘作業、出土状況や出土物を整理して、報告書を書くところまでが全部ひっくるめて発掘だそうですよ!
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【松田】
歴文では、いわゆる文化史系以外の授業でも、アグレッシブな取り組みをしております。こちらは1年生が全員履修する必修授業の歴史学概論ですね。教員から色々なテーマで問いかけをしたことに対して、学生たちがコメントを返し、そのコメントを共有して、さらに深く考えていくというアクティブラーニングのスタイルを取っています。
【吉村】
この授業は月曜1限で、大学にはいって一番最初に受けた授業でした。歴史に対する見方とか価値観が根柢からくずされて、大学の学びは高校までとは違うんだと強い衝撃を受けた授業でした。歴史を研究していくときの姿勢はこの授業で学べました。
【松田】
たとえば『歴史と過去って何が違うんだろう、考えてみよう』などという問いを発したよね。覚えてる?
【吉村】
覚えてますよ~。ただ単に質問されるだけではなくて、色々な角度からヒントが出されるから、頭を絞って一生懸命考えました。
私が1番記憶に残っているのは、さだまさしさんの「未来」という歌の歌詞についてみんなで議論したことですね。もし歴史がなかったら、私たちは自分の記憶の中にある数十年の記憶だけを頼りに生きていかねばならなく、そこには不安しかないんだってことを、さださんが詩的な表現で端的に指し示していて、あの時、はじめて私は、歴史を共有していくことで人間が未来を向いて生きていくことができるようになり、歴史が人間の大きな財産になることに気づくことができました。
【松田】
この授業は、みなさんに知的な衝撃を与えて、学問としての歴史に舵を切って貰うための授業構成にしているので、吉村さんがそれを真っ正面から受けとめて下さって、とても嬉しいです。
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学科紹介はまだ続きます!