歴史文化学科では、2021年度から2年ゼミを設置したことで、1~4年までの全学年を通して少人数ゼミでの指導が出来るカリキュラムが整えられました。
1年次には「歴史文化基礎Ⅰ」、2年次には「歴史文化基礎Ⅱ」、3年次にはそれぞれの学問分野の演習科目、さらに4年次には「歴史文化演習」がおかれており、4年間を通して少人数の濃密な指導の中で、研究する力が鍛えられる仕組みが整っています。
ここでは2021年度の新設科目である「歴史文化基礎Ⅱ」について紹介します。
2年後期に開講される「歴史文化基礎Ⅱ」は3年次からはじまる学問分野ごとの本格的な学びに備えて、それぞれの学問分野の方法論を体得するゼミとなっています。学生たちは、関心のある学問分野を2つ選択し、複数の方法論を学びます。こうしたカリキュラムは、歴文が幅広い学びを押さえた上での、深い専門性の習得を目指しているからこそ実現しました。
今回は、「歴史文化基礎Ⅱ」で、日本近現代史系を選択した場合に即して、「歴史文化基礎Ⅱ」の授業を紹介します。
・
ワンクールのゼミは4週間でおこなわれます。
1週目は、日本近現代史ゼミを卒業したOGたちが、どのようなきっかけで卒業論文の研究テーマと出会い、深めていったかについて、さまざまな事例をもとに話されます。また3週目に向けて、歴史史料が提示され、その歴史史料から気づいたことを箇条書きにしてくる課題が課されます。
2週目は、先輩たちのゼミでの議論の動画を視聴し、学問的な議論のあり方を体得します。
3週目は、1週目に出された課題に応じて、みんなで同じ史料を見て気づいたことをKJ法を用いて共有します。KJ法とは、メンバーそれぞれの気づきを付箋に書き出し、それを共有して分類することで、みんなが考えたことを寄せ集めて、さらに大きな気づきを得る方法です。
以下の写真はKJ法を行っている様子です。
みんなの気づきを記した付箋を並べ替えながら、史料に関わる論点が整理されていっている様子が分かりますね。この回のゼミでは2チームに分かれて作業をして、後半でそれぞれのチームの気づきを比較することで、自分たちが気づかなかった論点に気づく時間も設けました。
そして4週目では、KJ法で出された論点のうち、自分が最も興味を持った論点に絞って史料を読み直して気づいたことを受講生が相互に報告し合います。
・
このプロセスには歴史学の研究の真髄がつまっています。①史料全体をみて面白いと思う場所をたくさん抜き出す、②いろいろな気づきの中で自分が特に面白いと思ったことを選ぶ、③特に面白いと思ったことに即してもう一度史料を頭から読み直す。このプロセスは歴史学の根幹だといえます。
学生たちは、それぞれの学問分野の「学問する感覚」を体得し研究する感覚を身につけ、3年生の本格的な研究へとつなげていきます。