こんにちは、松田忍(日本近現代史)です。
3月16日に卒業式がおこなわれました。笑顔、笑顔、笑顔の卒業式になりました。
思い起こせば、今年の卒業生が入学したのは2019年度。彼女たちが1年生の時には、入学直後の夕食会があったり、基礎ゼミのメンバーで食事会したり、世田谷歴史散歩の企画を立てて大学近辺を散策したり、3泊4日の学寮があったりと、かつての「普通の生活」が流れていましたなぁと感慨深く思い出されます。
そして、ほぼ全てがオンライン化した状態が約1年間あり、その後も種々の制限がありながらの生活となりました。しかしこの代の学生たちとは、新しい方法を工夫しながら、学びの機会を止めずに、ゼミやプロジェクト、そして様々なイベントを一緒に乗り切ってきたとの実感があります。ご不便をかけた部分も大きかったかも知れませんが、本当に素晴らしい思い出をたくさん作ることが出来ました。ありがとう!
特に多くの時間を共にしたみなさん、濃密な研究の議論を重ねてきた日本近現代ゼミ生の集合写真がこちらです。
このメンバーとは、卒論を提出した直後に、はじめて懇親会もおこなうことができました。そして卒業するまでに「もう一回集まりたい!」といって卒業式前日にも再度懇親会。「もっと早くからやりたかったねぇ」の声もたくさんでていましたが、卒業してからもまた会えばいいのさ!
さて、14名のゼミ生が書き上げた卒論のタイトルを紹介します。日本近現代史ゼミでは、毎年みなさんの卒論を卒業論文集にまとめているおり、分野や関心が似ている研究を「部」にまとめて、目次を作っています。今年の卒業論文集の目次は以下のようになりました。
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第Ⅰ部 国家と宗教
「禁教政策下における宣教師の来日目的と宣教方法の違いについて」
「日本の近代歴史学と国家との対立 ―久米邦武筆禍事件に注目して―」
第Ⅱ部 生活と娯楽
「『藤岡屋日記』から見る江戸時代の娯楽文化 ―実説の愉しみ―」
「二〇世紀初頭の農家における経営と家計の分離― 前嶋家関係文書における「金銭出入帳」と「万覚帳」の分析から―」
「明治三〇年代の三越におけるPR誌戦略 ―通信販売と流行の視点から―」
「戦前期における大衆食堂について ―大衆食堂の実態と社会的役割―」
「美容食に関する貫戦史的研究」
第Ⅲ部 軍隊と社会
「一九一〇年~一九二〇年代における陸軍の総力戦思想― 『軍需工業動員法』を中心に―」
「ホモソーシャル概念をもちいた旧日本軍の組織原理分析」
第Ⅳ部 苦しみと向き合う人びと
「戦間期東京における職業紹介事業 ―公益事業と営利事業との対立の視点から―」
「日中戦争下における応召と軍事扶助法」
「沖縄における戦後の始まり― 住民と米軍―」
「日本社会へ訴える赤線売春婦の声なき願い― 「転落」理解を巡る売春防止法の賛否―」
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扱っているテーマは様々なのですが、いずれも、かつて生きた人びとの息吹を、史料を用いて現在に生き生きと蘇らせることに成功した素晴らしい論文ばかりです。時空を越えて、現在の私たちと過去の人びとが触れ合うことができるのが、歴史学の最高の面白さだと思っておりますが、各ゼミ生は10回近くに及ぶ研究報告を繰り返す中で、研究の苦しさと楽しさの両方を味わい、最大限成長してくれたと思っています。鬼ゼミ(?)を耐えぬいてくれてありがとう!!
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そして歴文卒業生のみなさま、さまざまな機会を経て身に付けた自信をしっかりと持って、これからも学び続けてください。みなさまのご活躍を心より祈念いたしております。ご卒業おめでとうございます!!