2023年度 ヨーロッパ歴史文化演習記②

歴文2年の竹内美月です。
2024年3月8日(金)に羽田を出発し、ローマ、フィレンツェ、ヴェネツィアを周り、15日(金)に羽田へ戻る旅程でヨーロッパ歴史文化演習が実施されました。今回はその中でも印象に残ったヴェネツィアでの訪問先についてお伝えします。

旅程の中でも一番印象的だったのは国立ヴェネツィア文書館です。事前勉強会の時点で同文書館に興味を持ち、イタリアの文書館を訪問することを楽しみにしていました。実際に書架総延長で80kmほどの保管してある文書を実見したことでより印象に残りました。文書が綴じられた簿冊はとても分厚く、色分けがされていたり、床にも年代が書いてあったりと文書館の広さがとても印象的でした。重要な文書は平置きにしておくなど初めて学んだことがたくさんありました。中でも特に印象に残ったのは、保管している文書の中身を見た際に、当時のヴェネツィア共和国では、木材や鉱物が枯渇しないようにするため、台帳や地図を用いて資源の管理を徹底していたと学んだことです。何も考えずに資源を大量に獲得するのではなく、取りすぎないよう管理しながら将来にも困らないようにしていたのです。現在風に言えば、持続可能な社会をヴェネツィア共和国の時代から実現しようとしていたことに驚き、ヴェネツィア共和国時代のことを深く知ることができる文書館で興味深かったです。また、議事録など通常は簡素に書かれた文書にも時代によっては細密画が描かれていることにも驚きました。文書を保管する際の分類についても元老院や各部局ごとに当時の組織ごとに分けられていました。

さらに、国立ヴェネツィア文書館ではデジタル化も進められており、地図類がデータベース上で見られることも印象に残りました。大判の地図類をすべて広げるのは一仕事であるため、デジタル上で確認できるのは非常に便利な方法だと感じるとともに、アーキビストの仕事の幅広さや大変さも感じることができました。 保存してある文書の中には、文書館を訪問する前に訪れたサン・ロッコ大同信会の文書や税金を正確に徴収するための地籍図、アメリカ独立宣言が出された直後にイタリア語に訳された報告書など多様な文書が存在することを学びました。改めて国立ヴェネツィア文書館にはヴェネツィア共和国時代の文書が多く保管されていることが分かりました。国立ヴェネツィア文書館の訪問は間近で数百年前の文書類を見ることができる貴重な体験であり、今後日本のアーカイブズについても学びを深めていきたいと思いました。

ヨーロッパ歴史文化演習は短期間でありながら異文化体験ができる素晴らしい機会です。実際に現地を訪れ、そこに住む人の話を聞いたり、自分の目で見たりすることによって視野が広がると感じます。普段と違う文化を楽しんでみたいなど、少しでも海外に興味・関心のある方は参加することをおすすめします。