みなさんこんにちは! 民俗芸能の次世代継承プロジェクトです。
私たちは、7月2日(火)に本学科の授業である「伝統文化の現場A」で、講師を務めてくださった
【相模里神楽 垣澤社中】の垣澤瑞貴先生にインタビューをさせていただきました!
【相模里神楽 垣澤社中】とは、日本の伝統芸能である神楽を継承する団体の一つです。100年以上の歴史を持ち、神奈川県厚木市の無形民俗文化財に指定されています。
今回お話を伺った垣澤瑞貴先生は、垣澤社中の代表を務めており、3代目家元に続く次期4代目でもあります。
神社の祭礼行事としての神楽の形を大事にしながらも、神楽という芸能を未来に確実に残し繋げていくために、エンタメ系の舞台公演の演出制作やイベントパフォーマンス、SNS活動、インバウンド事業など様々な取り組みを行い、尽力されている方です。
ここからは、そんな伝統芸能の継承者と継承問題に取り組む活動者、二つの姿を持つ垣澤先生のお話をご紹介していきたいと思います。
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―垣澤先生にとって、神楽は生まれた時からの身近なものであると思いますが、楽しさややりがいを感じる瞬間はどんな時でしょうか?
「神楽を舞うことによって、人間性や本質的なことが見えてきます。所作や表現・特性は人それぞれであり、それは神楽にあらわれます。例えば挨拶をすることができるようになるなど、日々の行動が変化(学び、成長していく)していくことに喜びを感じます。」
―今日まで神楽を続けてこられた理由などはありますか?
「神楽をやっていて、逃れるということもできますが、それをどう乗り越えるかということを考えました。女性であるということは変えられないこと=自分が変われば良いという意識を持つようになりました。」
―先生にとって神楽はどのような存在ですか?
「生きていく中で、自分をいつも律してくれて、諭してくれるような、立たせていてくれるような存在です。清浄な空間を作ってくれる。変わってしまうことへの恐れもありますが、寄りかかれる柱のように、心の支えになっています。」
―今までにどのような役を演じられてきましたか?
「男女やおじいさん、老婆、演奏など、ほぼ全部やってきました。」
―その中でお気に入りのもの、演じていて特に印象に残っている役・又は難しかった役などはありますか?
「三番叟が特に印象に残っています。三番叟は社中のみんなが踊れるもので、10代の頃はとても苦手でした。初級なのに超上級のようなもので、ある意味トラウマでもあります。
弟と比べられていた為、三番叟を舞うのは男でなければいけないのかという疑問もありました。30歳過ぎの時に、再び舞うことになった際もとても嫌でした。ただ、自己研鑽を続けたことである程度の形になり、納得できるようになりました。それと同時に喜びも感じました。男性は男性、女性は女性での価値を持つことが重要であり、どちらかをつぶすのではなく、融合していくことが重要であると気づきました。」
―活動をしているなかで、感じていること、もっとこういうことがしたい、こんなことが心配だと思っていることはありますか?
「懸念があるとすると、女性であるということは、今までと違うことをすることという意味で目立ってしまいます。PVの撮影も、反対されてしまうという思いから、父(3代目)には事後報告していました。その為、悪い評価や影響が社中の方々にも及んでしまうことを心配しています。日頃からの行いに気を配り、そのような事態にならないようにしています。また、若手の生徒たちの意見を聞くようにしています。色々な人の考えを取り入れるということを大事にしています。」
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今回はここまで!
インタビューはその②へ続きます!