修士論文中間発表会を行いました
10月19日(土)、10号館を会場として9時から13時前まで、大学院文学研究科言語教育・コミュニケーション専攻の日本語教育領域の5名と英語教育領域の1名の修士論文の中間発表が行われました。修士1年生(M1)の3名は司会とタイムキーパーの役割を務めました。最初の発表者は、現在イギリス在住のマルキンさんで、オンラインでの発表でした。
発表者のテーマは、複言語複文化から見た人間像や日本語メディアの解釈、移動する子どもの言語事情、日中の作文教育比較、留学生同士のピア・サポート活動、日本児童が英語を学ぶときのフリガナの効果でした。発表では、研究の動機、先行研究の整理、残された問題について簡潔に説明し、その後、それぞれの研究方法に基づき研究の進捗状況が報告されました。発表後は質疑応答の時間があり、先生や会場の参加者から質問やコメントがだされ、活発な意見交換がなされました。
この日の発表を3つ取り上げて報告します。
最初の発表者のマルキンさんの研究題目は「日本語話者の言語レパートリーと言語観に関する研究:日本語教育専攻で学ぶ大学院生の語りから」です。マルキンさんは、教師や学習者が自分自身を一人の複言語話者として捉える必要があることを主張し、個人の複言語の可視化の方法として「言語ポートレート活動」の可能性を探っています。質疑応答で多言語を話さない日本語教師の立場が問われました。
佐藤未佳さんは「日本語学習者のYouTube動画視聴時のストラテジーの理解の分析」について発表を行いました。佐藤さんは、芸能人の公式YouTubeチャンネルに投稿されている動画を対象に、課題解決と冗談のストラテジー・留意と調整を焦点に、日本語学習者と日本語母語話者がその動画をそれぞれどのように理解しているのかを明らかにします。質疑応答では、動画の字幕があるのか、学生は関西弁を学んでいたかなどのやり取りがありました。
英語教育の白石さんの研究題目は「小学生の英語表現・語彙習得における日本語かなの補助的効果」です。白石さんは、公立小学校の英語の授業の中で、フリガナを有効に使用することができるのではないかと考えて、その効果を実証します。質疑応答では、活発的な意見交換がありました。
<M1の感想>
M2先輩たちの発表の姿が非常に印象に残りました。先輩たちは自信を持って発表していましたし、質疑応答でも冷静に的確な受け答えをしていて素晴らしかったです。それは、ここまで熱心に研究に取り組み、たくさんの準備をしていたことの「証拠」だと思います。この発表を通じて、私も自分の研究の進め方がやっとわかってきたと感じ、とても参考になりました。これから頑張って自分の研究をしていこうと思います。 (サイ キンイ)
先輩たちの中間発表の姿を見倣って、私がこれから進んでいく研究の道にもつべき目標の具体的なイメージが持てて嬉しいです。自分が来年には発表することになるという思いが現実的になってきました。(ドナルドソン アナリン)
発表のPPTが簡潔で見やすく、研究の一番重要な部分を明確に伝えられていました。発表の流れもわかりやすいと思いました。(リ カン)
<発表者と題目>
マルキン舞「日本語話者の言語レパートリーと言語観に関する研究-日本語教育専攻で学ぶ大学院生の語りから-」
オウブンケイ「外国につながる子どもたちのアイデンティティの形成と自己肯定感」
佐藤未佳「日本語学習者のYouTube動画視聴時のストラテジーの理解の分析」
ホウゲン「中国人学習者が日本語アカデミック・ライティングで抱える問題-作文学習経験の視点から」
キムヒョジュ「留学生同士によるピア・サポート活動の意義-協働の学びの視点から-」
白石裕彦「小学生の英語表現・語彙習得における日本語かなの補助的効果」
近藤彩