下田真梨子さん
2013年に昭和女子大学卒業後、シンガポール航空に採用され、6年間客室乗務員として勤務。キャリアチェンジのため退職してフランスの経営大学院ESSEC Business schoolのシンガポールキャンパスに入校し、マーケティング修士を取得。2020年にアメリカIT企業に採用され、現在マーケティング部署に所属。
英コミ卒業生の下田真梨子です。
在校中にFSP(フォーシンズプログラム)に参加して、1年間ボストン留学を経験しました。このため、海外で働くことについては特に不安は感じなかったのですが、キャリアチェンジのため、初めて就職した思い出多い企業を退職し、学び直すかどうかについては、シンガポールでの自活を含めて将来への不安は大きなものでした。
英コミ在学中、各担当教授から熱意ある御指導を頂きましたが、このキャリアチェンジの折には、特に井原教授とライアン教授が親身に相談に乗ってくださり、背中を押していただいたお陰で前に進むことができました。この投稿の場をお借りして厚く御礼を申し上げます。
◯ 大学卒業後、シンガポールへ。就職活動のきっかけ
2011年在学中の夏休みを利用して、大学の友人と、英会話のブラッシュアップと食べ歩きを兼ねてシンガポール旅行を計画しました。当時はボストン留学のほかに海外を旅行する経験がなかったので、シンガポールという都市国家の発展したインフラ、世界的な金融センターに集まる各国の人々とその多様な文化、熱帯的な気候などが大変印象に残りました。今考えると、シンガポールに移住するための就職活動の出発点は、この旅行時に受けた感動だったと思います。
シンガポール旅行後、シンガポール関連の企業やその採用窓口を探すようになりましたが、あるとき大学の友人から「シンガポール航空が日本人客室乗務員を毎年採用している。」との情報を得たので、早速に、航空会社の内定をもらっている英コミの先輩方から、面接時のアドバイスや履歴書の書き方などについて指導を受けました。それからエアラインスクールで短期の講習を受けるなどの準備を始め、大学4年の秋口に、幸運にもシンガポール航空の内定を得て、卒業と同時に採用同期の日本人スタッフ3人と一緒にシンガポールに移住しました。
そして、現地において旅客機の諸元や緊急時の対応等について約3ヶ月の研修・訓練を受けて、その年の9月に日本に向かう便で初フライトしましたが、そのときに感じた「自立」したという喜びは今でも忘れることができません。
シンガポール航空の客室乗務員は、シンガポール人、マレーシア、タイ、インドネシア、韓国、中国など多国籍のクルーで成り立っています。このため、最高の接客を提供できるかについては、お互いの文化を尊重しながら、常に話し合いをしなければなりません。世界各国へのフライトでは日々新しい体験があり、見聞を広げるチャンスも多くありました。私としても、日本人の価値観や日本の文化を同僚クルーに伝えようと努力しましたが、改めて、日本人の素晴らしい道徳観や洗練された文化などに多くの気付きがありました。
シンガポール航空を退職した現在、このときの経験は、私の一生の宝物だという思いが強くなっています。
〇 キャリアチェンジ〜大学院へ
シンガポール航空は、機内のサービスのほかに、特に企業のブランド力を高めることに注力していたように感じています。そうした企業活動の中で仕事に慣れてくると、感謝の言葉を頂けるような接客の現場から、企業経営や業務企画の方に関心が移ってきました。
そこで一念発起して、私はブランドマネジメントや経営が学べるマーケティングの修士取得を目指すことにしましたが、やりがいのある仕事を手放すことは異国で自活できなくなることを意味しますので、大学院への出願は相当迷いました。「若い時にはどんどん挑戦しよう。」という、昭和女子大学の先生方の御助言に勇気を頂き、キャリアづくりの第一歩を踏み出すことができました。
〇 IT業界〜マーケティングへのキャリア
現在、私はシンガポールを拠点するアメリカのIT業界のマーケティング担当として、日本と東南アジアの市場をカバーしています。シンガポールはアジアのハブの位置付けですので、多くのIT企業が本社・支社を置きながら活発に活動しています。
私がField Marketingとして所属するチームは、ここでも多国籍で、シンガポール、香港、オーストラリアの出身者で構成されています。シンガポール航空で、お互いの文化を尊重しながら、常に話し合い、相互理解を深めていった経験は大いに役立っています。
〇 最後に〜自主性と関係性を大切に
昭和女子英コミの良い点は、学年を問わず、先輩、後輩、卒業生とつながることができるところだと感じています。その上で、海外での生活や就職経験に基づいて、私なりのアドバイスをさせていただくと、これから社会に出て行く皆さんにとって、自分の人生を自分で決めることができることという「自主性」と家族や友人などの親しい人たちと良い関係を築くことができる「関係性」がとても大事だと考えています。私もキャリアチェンジ等で体験したこの「自主性」と「関係性」を大切にして、仕事にも余暇にも様々な事柄にチャレンジしていきたいと思います。
どうか皆様がなお一層お元気に活躍されることを心からお祈りしています。