平成30年度 FD講演会報告(6月20日実施)

開催日:平成30年6月20日(水)16:30~17:35
場 所:学園本部館3階 大会議室
テーマ:ライト・アクティブラーニングのすすめ:大・中人数講義型授業での主体性学びの自然な引き出し方
講 師:橋本 勝教授 富山大学 教育・学生支援機構教育推進センター副センター長
参加者数:177名

 橋本氏は「橋本メソッド」の橋本先生として知名度が高く、大・中人数の講義型授業において、学生の主体性を引き出し、自然に積極的な授業参加を促すライト・アクティブラーニングの紹介とその効果を、今回は現在開講中の120名を上限とする「2018現代社会論」という授業を例にとり、話された。参加者はライト・アクティブラーニングを疑似体験しながらの講演をうかがった。
 新学習指導要領では、アクティブラーニングは、1)主体的、2)対話的、3)深い学びと定義されている。だが、大人数講義型授業や、所謂「『スムーズな』卒業や就活優先のカリキュラム」、資格試験・国家試験合格率等の評価という「日本特有な大学事情」を考慮すれば、特に教養科目においては「個々の学生にとって負担」が軽くなるよう構成されたライト・アクティブラーニングこそ大学にふさわしい授業形態なのではないか。そもそもアクティブラーニングのポイントは、学生および教員にとって能動的であるか否かであり、そのカギは「楽しさ」にある。楽しさは学生・教員がともに楽しいと思ったときに感じるものであり、楽しいからこそ学生が思わず能動的、換言すれば主体的に行動してしまうのである。学生を能動的に学ばせるためのキーワードは、1)競争原理、2)ゲーム感覚、3)遊び心、4)相互刺激、5)楽しさである。「楽しさ」を味わうことで、学生は知らず知らずのうちに幅広い知識を身に着け、「深い」学びへと導かれてゆくことが多々ある。大学では、強制的に勉強するのではなく、主体的に、楽しく学ぶべきである。学生が新しい発見をしながら楽しく学ぶためには、教員が知っていて学生が知らないことのあるテーマを選ぶのは効果的である。「2018現代社会論」の授業の進め方については、紙面の関係上、ハンドアウトを参照にされたい。
 フロアからは、意欲や実力に差のある学生をどのように評価するのかという質問が出た。成績としては、チーム点と個人点がある。チーム点は、授業での各チームの発表を基準に基づき上限55点で評価する。チーム内であまり貢献していない学生も同じ点数となるが、誰かを使えばよい成績が取れるか考えるのは、一つの処世術でもあるという観点からの評価である。個人点では、意欲の高い学生を満足させ、且つ意欲の低い学生をやる気にさせることに心配りしている。方法としては、「シャトルカード」に毎回授業で学生が記載したコメントを評価、教員のコメントを必ず付けて返却する、その他、試験点などを活用している。
 橋本先生の多人数討論型授業は、すべての回を公開している。事前予約なしでもよいが、事前に連絡すれば当日のテーマ等をお知らせくださるとのことである。また、先生のご著書、『ライト・アクティブラーニングのすすめ』(ナカニシヤ出版)のご紹介があった。