日 時:平成30年10月10日(水)15:00~16:00
場 所:学園本部館3階 大会議室・中会議室
テーマ:あらためてアクティブラーニングを問う ― 学生の能動的参加を促す教員の工夫と葛藤
■第1グループ
「アクティブなシンガポール人が日本の大学でアクティブラーニングを進める奮闘記」
発題者:現代教養学科 シム チュン・キャット / 司会・記録:日本語日本文学科 笛木美佳
参加者:23名
シンガポールの高校までの教育を簡単に紹介された後、日本の大学生に対応した授業の工夫について、現代教養学科2年生必修科目「現代教養入門Ⅲ」を例に話された。その後、2冊の参考書(『SEVEN MYTHS ABOUT EDUCATION』『アクティブラーニング 学校教育の理想と現実』)をご紹介、日本はアクティブを〈活動的な学び〉ととらえてきたが、〈主体的・能動的な学び〉なのであって、「ラーニング」が重要であると締めくくられた。
会場からは、上記科目のルーブリックの項目設定や教員同士の調整について、基礎がないとアクティブには展開できない科目の対処法、アクティブラーニングを受けていない教員の戸惑い、知識の獲得が最優先の科目・外国語科目のアクティブラーニングの導入法などについて質問が出た。
〔文責:笛木美佳〕
■第2グループ
「資格取得を目的にモチベーションを高め、やる気を持続させるためには」
発題者:管理栄養学科 石井幸江 / 司会・記録:環境デザイン学科 下村久美子
参加者:10名
管理栄養学科では所属する学生全員が管理栄養士の資格取得を目指している。しかし、目的意識には個人差もあり、早い時期から資格取得の明確な目的意識を持たせることで積極的な取り組みを行うことができる。また、モチベーションを維持していくためのサポートが重要であることから、模擬試験、学生個々に向けた面談、情緒的サポート、Eラーニングの導入、合宿による学習指導、特別講師による講義を実施している。また、ゼミでは、学生達は自主的にグループ学習を行い、学生同士で教え合うことで学んでいる様子もみられ成果を上げている。ラーニングピラミットで提唱されている“教え合うことによる効果的な学習”となっている。つづいて参加者から所属学科で取得できる資格やその取り組みについての事例なども紹介された。大学教育はあくまで基礎的な知識の上に専門性を高めて成り立つものであり、資格の取得のみに力点を置かれることも懸念せねばならない。そのうえで、学生の目的意識を高め学習意欲を引き出す必要があるなど意見交換し終了した。
〔文責:下村久美子〕
■第3グループ
「専門科目と一般教養科目のアクティブ・ラーニング:苦手な教員による実践例の紹介」
発題者:現代教養学科 常喜 豊 / 司会・記録:英語コミュニケーション学科 金子弥生
参加者:17名
常喜先生は動物生態学がご専門で、専門科目と一般教養科目におけるアクティブ・ラーニングの実践例をご紹介された。アクティブ・ラーニング実践のため、学生にはポイントだけを伝え、言いすぎないことを心がけている。その結果、例えば専門科目の「東京社会調査研修」では自然庭園を活用した自然教育イベントを学生自ら企画し実践した。教員は自分が「楽しい」と思うことをテーマに選び、学生と共に動くことで教員自身の勉強になりかつ学生のすばらしさに気づくことができる。履修者100名を超える一般教養科目ではアクティブ・ラーニングを取り入れるのは難しく、フィールドワークを入れた中間レポートを課し、その学術的価値を学生に示すこと以外のアイディアがなかなか浮かばないとのことで、大人数クラスでのアクティブ・ラーニングに対する提案、意見をフロアに求めたところ、発表時間1分で毎回数人の学生に発表せる授業、ITを利用した特殊研究講座の紹介などがあった。また、専門科目と一般教養科目でのアクティブ・ラーニングの目的は同じなのか、資格のための授業などアクティブ・ラーニングを取り入れることが難しいものもなるなどのコメントが寄せられた。
〔文責:金子弥生〕