日 時:2019年10月9日(水)15:00~16:00
場 所:学園本部館3階 大会議室・中会議室
テーマ:グローバル時代における教養教育の在り方を考える
■第1グループ
「『グローバル化って何?』から始めるグローバル時代の教養教育」
発題者:総合教育センター 森本直子 / 司会・記録:英語コミュニケーション学科 鈴木博雄
[参加者:21名]
発題者は、自身の経歴がグローバルな生き方に結びついていることを紹介した後、教養教育におけるグローバルな人間育成の在り方について、主として以下の5点を語った。第1に、在留外国人の出身が英米圏主流ではないことから、英語力がグローバルな思考の基準になるわけではない。第2に、講義内容に限定されず、学問に対する教員の姿勢を学生に示すことで、多様な価値観を認識させたり、自分の常識が世界の常識ではないことを自覚させ得る。第3に、刑事裁判の傍聴等、本物を見せることが、社会で起きている問題や自分の生き方を考えさせる契機となる。第4に、学生間でノートを回覧させることで、クラスメートの関心や考え、文章力を知る機会を与える教育を実践している。第5に、教養教育で体幹を鍛えることにより、変化に動じず、逆境にも折れない人間が育成される。以上の話題提供を受けて、ディスカッションに入り、「何をもってグローバル化したと言えるのか。」「学生を授業に巻き込むためには、日常と結び付けて考えさせる。」「教養教育は自由人の育成である。」等、活発な意見交換がなされた。
〔文責:鈴木博雄〕
■第2グループ
「グローバルな発言力を鍛えるには?~災害が増加する世界に生きる世代の防災力を高めながら~」
発題者:ビジネスデザイン学科 小西雅子 / 司会・記録:環境デザイン学科 下村久美子
[参加者7名]
小西特命教授が担当している授業「世界の環境と防災」「ビジネス交渉学」での工夫を具体的に紹介いただいた。授業形式はアクティブラーニング型で、テーマはグローバルな(例えば持続可能なSDGsについてなど)課題とし、さらにその課題がいかに自分の競争力につながるかを説き、学生が主体的に考え、より現実社会で役に立つかを自覚し自分のこととして取り組めるようにしている。学生のグローバル社会における発言力をつけるために発声練習を取り入れ、質問の仕方を伝えるなど、発言力も評価対象としている。さらに、実社会とのつながりを実感するために学外(例えば大使館など)に赴き学生がプレゼンテーションを行う。このような場でのプレゼンテーションは学生のやる気を起こさせる機会にもなっているようだ。以上の話題提供をいただいたのち、出席者からは、アクティブラーニングの受講人数や実施する教室形態、多人数でアクティブラーニング形式の授業をする際のTAの必要性など具体的な質問や意見交換がなされた。
〔文責:下村久美子〕
■第3グループ
「人生の『武器』としての歴史学―歴史学研究者としての教養教育への取り組み―」
発題者:歴史文化学科 松田忍 / 司会・記録:日本語日本文学科 笛木美佳
[参加者:10名]
中教審の2002年答申「新しい時代における教養教育の在り方について」を確認された上で、「グローバル時代」の前後で教養教育は変わるべきものではないこと、学生と「一期一会」の教養科目の特性ゆえ、学生に対して一歩踏み込んで、他流試合(自らの専攻分野の「真の価値」を問う戦場)をなし得ると話された。そして、学問の最先端(エッセンス)を話す、論点の軸は示しつつ、学生に徹底的に考えさせ、知識を有機的に結合していく姿勢を養うべく授業を展開なさっていることを、担当科目の実例を挙げつつ、説明された。ディスカッションでは、学生に「考えさせる」、「考える頭を作る」、「そのきっかけを与える」という点が強く共有され、その他「正解は求めないのか」「資料配付のタイミングはいつか」「授業後にも考察を継続させる工夫は何か」等、活発に質疑応答が交わされた。
〔文責:笛木美佳〕