これからの社会に必要な技術や能力には、情報リテラシ-、外国語の能力、文章力・コミュニケーション能力などがあります。幅広い知識・教養というものも、変化の激しい社会を生きていくわけですから必要です。今回は、現代教養学科が学科として取り組んでいる社会調査士という資格について考えてみましょう。
社会調査士というのは、生活、仕事、販売・サービス、地域など様々な事柄について調査することを仕事とする専門家で、最近になって注目され始めた資格です。なぜかというと、生活や会社やサービスなどさまざまな分野で科学的な調査に基づいて改善、効率化、質の向上を求めるようになったからです。社会全体の質を高めるためにも科学的な調査は欠かせないという認識が広まってきたからです。
私が専門としている図書館情報学の分野も同様です。そもそも図書館情報学は1920年代アメリカ、シカゴの大学の社会学から誕生した学問ですから、図書館の科学的な調査はおてのものだったはずですが、それでも最近はサービスの満足度調査とか、従来あまり調査・分析されてこなかったことにも挑戦してサービスの質の向上に取り組むようになってきました。こうした調査も社会調査士が担当して、図書館情報学の研究者と協力して進めています。
社会調査士は、将来、社会に欠かせない専門家として位置づけられると私はみています。
ひとりの個人としても学び、資格を取得する利益は大きいものです。漠然と考えていたことがらを、アンケート調査したり、統計を分析しりすることを通して、対象を正確に把握し、自分なりの考え方を得ることができます。仕事や生活も客観的に科学的にみることができるようになります。昨年度の学科の最優秀卒業論文は、社会調査の技法を使って「若者の車ばなれ」を調査、分析したものでしたが、学生が行った調査の結果と各種の統計等の分析などから、既存の調査報告などでは得られない新しい知見をそれなりに導き出し、提示したものでした。この経験はきっと将来の生活や仕事にも役立つことでしょう。
新入生の皆さんも在学生の方々もぜひ社会調査士に挑戦してもらいたいものです。もちろん私が担当している図書館司書の資格も、インターネット情報源の検索や資料の調査などの技術を身につけることができますので、挑戦してみてください。
(記事:N.O.)