【西本智実 アジアを紡ぐコンサート ~風を詠む音の旅~ を鑑賞しました!】

数少ない女性指揮者であり世界的に活躍されている西本智実さん指揮、イルミナートフィルハーモニーオーケストラによるコンサートに行ってきました。西本さんは、現在、同オーケストラ芸術監督兼首席指揮者であるとともに、ロイヤルチェンバーオーケストラ音楽監督兼首席指揮者、日本フィルハーモニー交響楽団ミュージックパートナーも務めていらっしゃいます。以下に、学生2名の感想をご紹介します。(福田)

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こんにちは。現代教養学科1年の吉江です。

6月6日Bunkamuraオーチャードホールにて開催された、「西本智実 アジアを紡ぐコンサート~風を詠む音の旅~」に行ってきました。クラシック、というとヨーロッパが中心……というイメージがありますが、この公演ではアジアの国々をテーマに構成され、風を詠むという題の通り、アジア諸国の息吹を感じたように思います。

ホルストの「日本組曲」をから始まりました。ところどころに日本民謡のオマージュを含むこの曲は、ホルストが想像した日本という視点から楽しめます。このコンサートのために作曲された曲をなんと世界初演で聴くことができました!このような経験はなかなかないので胸が高鳴りました。

タイのサクシ―・ウォンタラドン氏作曲の「North wind」は、チャケーというタイの伝統的な楽器を用いた作品です。音の流れが風になって見えるようで、チャケーのどこか懐かしい響きと相まって素敵でした。

フィリピンのジョセフィーノ・チノ・トレド氏作曲の「Hoy!Bata…」は、おい、そこの子ども、と呼びかける意味だというこの作品。フィリピンの民謡が散りばめられ、ソリストが穏やかに、時にリズミカルに歌い上げ、昔の気持ちが呼び起こされるような思いでした。

最後はホルストの組曲「惑星」でしたが、この中では「木星」がもっともポピュラーでしょう。しかし全て通して聞いてみると、その「木星」も「惑星」の物語の一部だと感じましたし、日本からアジアへ、そして遠い宇宙へと、組曲最後の「海王星」の頃にはどこか遠くへいざなわれてしまうような感覚にもなりました。

現代教養学科では、このような機会もたくさん用意されています。音楽や文学、芸能は社会と切り離せないものだと私は考えます。

学生のうちにたくさんいろんなものを見られたらいいなあ、と思いました。本当に貴重な体験でした!

(1年 吉江)

 

写真:吉江撮影

現代教養学科2年の清田です。

6月6日(火)に、Bunkamuraオーチャードホールにて開催された「西本智実 アジアを紡ぐコンサート ~風を詠む音の旅~」を鑑賞しました。今回のテーマは、「風」であり、東南アジアの作曲家による作品が、オーケストラや合唱、そして世界の楽器によって演奏されました。中井美穂さんの司会のもと西本さんご本人から曲の解説がありましたが、指揮者の方から直接お話を伺う機会は少ないため、貴重な経験をすることができました。

前半に演奏されたホルストの「日本組曲」は、6つの楽章から成り立っています。オーケストラの力強い響きによって、さまざまな踊りが表現されていました。そのうちの1楽章である「桜の木の下での踊り」では、日本で知られている「江戸子守歌」がアレンジされています。ほかにも、儀式や操り人形などの様子が演奏されましたが、全体を通して軽やかな様子が伝わってきました。

世界初演の曲も2曲演奏されました。1曲目はタイの楽器を用いた演奏で、オーケストラの音色に溶け込んでいるところに感動しました。このタイの楽器は「チャケー」と呼ばれ、「ワニ」を意味するそうです。やわらかい音を持ちながらも、心地よい風、強い風などさまざまな風の姿の表現が印象的でした。

2曲目はソプラノとオーケストラのための作品です。フィリピンの地域の子供の歌を集めた曲であり、子供たちの感情が表されています。楽しく遊びまわったり時には静かになったりというように、彼らの生活そのものをイメージしながら聴きました。ソリストの方の歌声は美しい響きのみではなく、声の力強さが会場いっぱいに広がっていました。

後半には、ホルストの組曲「惑星」が演奏されました。前半の演奏より世界を広げ、風が宇宙まで届いていく様子が伝わってきます。7つの惑星はそれぞれ役割が異なり、戦争をもたらす「火星」から始まり、神秘主義者である「海王星」で曲は締めくくられます。戦争の厳しさを重々しく表現する場面から一転して平和を表現する場面では、吹く風の変化を感じました。低音や高音にかかわりなくすべての楽器がひとつの方向に向かっているような演奏を聴き、そのことで人の心を震わせる音楽の力の偉大さに気づきました。曲の最後には女声合唱も加わり、透き通るような声が宇宙の神秘さを連想させます。

西本智実さんの指揮もすばらしいものでした。演奏者と観客が一体となれるような演奏を創りあげられていた姿が心に残りました。「偶発的に出た音も音楽となる」というお言葉を聞きましたが、そのような音楽の形もあるのだと新たに発見しました。

今回は海外の楽器を用いた演奏など、日本と他国を結ぶきっかけとなるコンサートでした。世界初演の曲は、海外の作曲家と西本さんの話し合いの中で生まれたそうです。こうした世界のつながりを大切にしながら、文化の交流を深めていければと思います。

私は今回のコンサートを通して「音は目に見えないからこそ心で楽しむものではないか」と気づきました。楽器が目の前にあったとしても、そこから奏でられる音は心を通して私たちに多くの影響を与えます。さまざまな演奏を聴くことを通して、私自身も「心での音楽の楽しみ方」を探していこうと思います。

(2年清田)