国立国会図書館デジタルコレクション「日本占領関係資料」
昨日6月23日は沖縄慰霊の日でした。
国立国会図書館オンラインサービスの一つとして、国会図書館で収集・保存しているデジタル資料を検索・閲覧できる「国立国会図書館デジタルコレクション」があります。その中に「日本占領関係資料」があり、憲政資料室で公開されている戦後の日本占領に関するアメリカ公文書のうちの一部が収録されています。
この「日本占領関係資料」を筆者の生まれ育った「宇部」で検索すると、いくつか資料が検索結果として出てきて、75年前に宇部で空襲があったことが改めてわかります。
米軍が撮った空撮写真は、後に家族となる筆者から見ると生々しいものがあります。筆者の父が家族と一緒に住んでいたところ、祖父が勤めていたところ、近くの軍需工場、空襲警報が鳴ると5歳にもかかわらず父が一人で逃げていた「鍋倉山」などがはっきりと写っているのです。爆撃をした場所を示す米軍の手書きの記録(下の写真参照)もありますが、父たちが暮らしていたところは、紙一重で焼けたことを示す斜線がひかれていません。
かつて5歳であった父が折々に淡々と話してくれる戦争体験話のうちの幾つかを紹介します。
- ようやく家族全員入ることのできた防空壕の中で、いきなり祖父が「ここを出る!」と言い出したがために、渋々鍋倉山に向かって逃げた。その帰り道、さっきまでいた防空壕を確認したら、爆弾によって崩れていた。家族全員が命拾いをした。
- 父が一人で逃げていた時に低空飛行の戦闘機がやってきて、父に向けて射撃を始めたにもかかわらず、運よく弾が逸れて数メートル先の牛に命中し、これまた命拾いをした。
偶然が重なり、命がつながれて、今の筆者があります。
図書館は、過去の時代に出版・刊行等された資料を収集し、保存する役割があります。先の戦争を体験していない筆者ではありますが、国立国会図書館に保存された資料によって、父の戦争体験をより具体的に感じることができたのも、この役割があってこそのものだと思っています。このコロナ禍、図書館の利用にはまだまだ制限がありますが、近い将来、何ものにも邪魔されず、長時間に亘って図書館の資料にどっぷりと浸りたいものです。
池田美千絵