7月10日(金)現代教養学科グローバル・セミナー「日本と・ロシアの関係について」
講師:James D.J.Brown(テンプル大学ジャパン、国際関係学科主任)
グローバル・スタディーズ・グループで国際関係論を担当している志摩です。今年のグローバル・セミナーは、国際関係論の授業の時間帯にTUJの国際関係学科主任のブラウン先生をお招きして、「日本とロシアの関係について」ご講義いただきました。。国際関係論の授業は、現代教養学科の専門科目ですが、他学科の学生も履修していますので、グローバル・スタディーズ・グループの学生以外にも多くの学生が聴講薄頃ができました。国際関係論の授業は、前期すべてオンライン授業でしたが、6月には元外交官の田中均氏によるご講演「コロナ後の世界はどうなるか?」も実施、国際社会をどのようにみるかを具体的に考えてみる機会を多く作っています。
今回の「日本とロシアの関係について」もその一環、まさに直前にロシアで憲法改正の国民投票が実施されたこともあり、ロシアへの関心が学生の中にも高まっていたといえるでしょう。
以下、現代教養学科の2名の学生の感想を紹介します。
7/10(金)2限目に、TUJのJames D.J. Brown先生によるグローバル・セミナー「日本とロシアの関係」というテーマの講義に参加しました。Brown先生は、北アイルランドベルファスト市ご出身です。講義は英語と日本語の両方で行われ、英語のスライドと共に英語で解説して下さった後、その内容と同じものを二度目に日本語のスライドを用いて日本語で解説して下さる形で進んでいきました。
英語専攻ではない現代教養学科の学生達にとっては、ネイティブの英語に集中して触れることができ、学究的な英語の聴解を学ぶ貴重な時間となりました。また、ご講演下さったBrown先生にとっては大変だったのではないかと思いますが、英語での解説の後に日本語で再び同内容の解説をして下さったことで、日本とロシアの関係を説明するうえで、少し難しい話であってもきちんと理解することが出来ました。
未だに平和条約が締結されていない日本とロシア間では、その要因の一つとして北方領土問題が大きく関わっています。なかでも1948年に北方領土から日本人が強制的に退去させられたという話が印象的でした。当時島々には1万7千人もの人々が暮らしていましたが、ソ連が条約を無視して北方四島のすべてを占拠したことで、日本人は強制退去させられました。過去に起こった出来事は変えられませんし、北方領土問題を完全に解決することは難しいと思いますが、今後について両国が歩み寄り、少しずつ問題解決に近づいて欲しいと考えます。今回の講義で、日本とロシア関係について関心を持ち、両国の外交問題について改めて考えるきっかけとなりました。
質疑応答の際には、英語での質問を求められましたが、Brown先生が“言語を学ぶうえで、間違いを恐れることが最大の敵だ!”と仰っていたことが心に染みました。私も英語学習を通して、間違いを恐れてなかなか上達しなかったとき、「私たちはネイティブじゃないし完璧を目指す必要はない、たとえJapanglish(日本語訛り英語/和製英語)であっても、コミュニケーションを取ることが重要なのだから、間違いを恐れず学び続けよう」と気付き、むしろたくさん失敗してきたことで英語が大好きになった日のことを思い出しました。
ロシアの憲法改正が7月1日の国民投票で承認された直後の時宜を得た内容で、日露関係を学ぶことができたとともに、言語を学ぶうえで大切なことについても改めて気付かせていただいた貴重な機会でした。 Brown先生、楽しい授業をありがとうございました!
(A.N)
聴講させていただいたセミナーのテーマは「日本とロシアの関係」でした。日露関係の前史について、私はロシアが日本の鎖国をやめさせようとしていたことを初めて知りました。もし、ロシアが日本の開国に成功していたら、両国の関係はどうなっていたのでしょうか。
その後日露戦争から冷戦に至るまで、日露関係は困難な状況が続きました。太平洋戦争中の1945年のソ連対日参戦より、今もまだ両国の間で平和条約は締結されていません。 いくつか理由があるそうですが、一番の問題は領土問題です。かつて日露和親条約で日本の領土と公式に認められていた北方領土は、第二次世界大戦以降、現在もロシアにより管轄されています。ロシアは第二次世界大戦の結果、北方領土が合法的にロシアの領土となったとしていますが、日本はそれを認めておらず、ロシアによる「不法占拠」と主張しています。また、安倍首相はプーチン大統領に対して、歯舞群島と色丹島の2島の返還のみを受け入れる意欲を示しましたが、進展は見られません。
北方領土の問題を解決することは、非常に難しいと思います。日本は北方領土から強制退去させられた元島民の問題を重視しており、一方ロシアはこの地域を戦争で巨大な犠牲を払って勝ち取った聖域としているからです。両国の国民感情により、双方簡単に妥協することはできないのです。
私はそもそも、サンフランシスコ平和条約を締結する際、“The Kurile Islands”の範囲を明確にしなかったことが問題だと思います。ロシアはこれをロシアのカムチャッカと北海道の間の全ての島々と捉えているのですが、日本は北方四島はこの中に含まれていないとしています。しかし過去は変えられません。そのため私は、日本とロシアの国民がそれぞれ、歴史的事実や、生じてしまった認識の違いなどを、客観的に正しく理解するべきだと考えます。感情を排除することは不可能でも、建設的な議論をするための努力をする必要があると思います。
今回改めて日露関係について学ぶことができ、大変勉強になりました。引き続き、この問題について考えていこうと思います。お話しくださったテンプル大学のブラウン先生、ありがとうございました。
(S.K)