「メセナ」という言葉をご存じですか?
メセナとは、文化芸術の擁護、支援を意味するフランス語です。日本では企業メセナ協議会の設立を契機に普及し、企業による文化擁護活動を意味する言葉として主に使用されています。現在は多くの企業がメセナ活動をCSR(企業の社会的責任)の一環として位置づけていることからも、その重要性がうかがえます。
現代教養学科の専門科目である「アート・マネージメント」の第7回講義にて、公益社団法人 企業メセナ協議会の常務理事を務める澤田澄子さんとプログラム・オフィサーの佐藤華名子さんにお越しいただきました。企業メセナの歴史や最新動向に加え、これからの社会で企業メセナが果たすべき役割等について学びました。
企業のメセナ活動は、時代の変化やニーズに沿って進化しています。企業による自主企画や運営、他団体への支援や提供など、その内容は様々で、多くの企業が自社の強みを生かした独自性の高い活動を行っています。近年は、企業メセナ活動において「地方創生」と「人材育成」が重視される傾向にあるそうです。
持続可能な社会の実現には、次の三点が鍵となります。①多様性の尊重、②人材育成、③社会課題の解決です。これらを叶えるためには、多様な人々が共に暮らし、いつまでも学び続けることのできる環境がなくてはなりません。環境を整え、新たな価値への気づきや創造を得ることで、日本の豊かな資産や人材がはじめて生かせるようになります。その際に重要な意義を持つものこそが芸術文化であり、それを支えるのが企業メセナ活動なのです。
では、これからの企業メセナにはどのような在り方が求められるのでしょうか。澤田さんは、「『五方よし』であること」だとお話してくださいました。「五方よし」とは、従来の「三方よし」を構成する売り手・買い手・世間に“環境”・“未来”を加え、これら5つが満たされた状態を指す言葉です。心豊かな社会を支える企業メセナ活動を、社会全体で推進させていく必要があるのだと学びました。
私が1年生の時、現代教養学科の必修科目である「文化をみる目」の授業でメセナについて学ぶ機会がありました。今回の講義を受けながらそのことを思い出し、学びとは連続的なものであると実感しました。「アート・マネージメント」の授業では、最終成果として後期にアートイベントを開催する予定です。ぜひお越しください!
(現代教養学科2年 水野真結)