現代教養学科3年生の古越です。
先日、11/27(水)の「マスメディアと現代社会」の授業では、ゲスト講師としてイギリスの公共放送である英国放送協会(以下BBC)通訳、ジャーナリストである清水健さんにご講演いただきました。
今回のご講演では、一昨年100周年を迎えた英国BBCについて、歴史や日本の報道局との伝え方の違い、時代の変化により変わりつつある仕組みや公共放送のこれからのあり方についてお話いただきました。
BBCは1922年10月18日にBritish Broadcasting Companyとして発足し、同年11月にラジオ放送を開始しました。当初は新聞社が反対したため制限されていた報道番組が新聞社のストライキにより放送の要になり、1927年に国王の勅許によって存立する公共放送のBritish Broadcasting Corporationに生まれ変わりました。私はBBCはNHKと同様公共放送であることや日本の取り上げられない問題にも踏み込んで言及するというイメージからCompany時代、制限があったことに驚きました。
私が今回の講演で1番心に残ったことは英国と日本のメディアの意識の違いです。
福島第一原発事故について日本のマスメディアは政府や専門家の話す内容の一部のみを取り上げ、現在は安全であると報じていましたが、放射能の実数値など具体的な情報が少なく本当に安全なのかが十分に伝わっていませんでした。一方、英国では原発事故についても「失敗から学ぶ」ことを重視し、実際の数値を元に報道しました。ジャーナリストが現地に赴き、日本の政府や科学者の発表を踏まえた上で取材し、更に英国内の科学者の意見も取り入れました。また、事故の事実だけでなく対応にも目を向け、賞賛を含めたより正確で伝わりやすい報道を目指していたそうです。
同じ公共放送で正確に情報を伝えるという目的があるにも関わらず、メディアに対する評価が分かれるということから、送り手であるメディアの意識や特性が情報の受け手に与える影響の大きさを知ることができました。
ここまで書いてきたように報道する側の立場や技術による伝え方の違いももちろんあると思います。しかし、日本人はニュースを疑うことをあまりしないのに比べ、イギリス人はニュースを疑う傾向があるというお話からも分かるように私たち受け取り手の態度も、メディアの情報を曖昧なものにしていると感じました。
今年8月、南海トラフ地震の危険性が高まったとして行動自粛や災害対策を呼びかけたにもかかわらず、実際に起こらなかったため偽の情報を広めたという見方も広まりました。日本人は、ニュースの内容を受動的に受け取っているからこそ、予想外の事態や不足した情報に対して不平不満を言い、正しい内容の賞賛はしないという態度があると思います。そうした態度と、事を大きくしたくないという日本人の気質が日本の報道の曖昧さと関係しているのではないかと思いました。
今回の講演を聞いて、マスメディアの違いや特徴を知り、変化していくメディアに対し私たち受け手がどう関わっていくべきかを改めて考える機会となりました。
清水さん、この度はご講演、ありがとうございました。