みなさんこんにちは!
CLA Reporters&Magazine(*1)の現代教養学科2年の石井碧、酒井響、山岡遥です。
私たちは、12月18日(水)に公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会(JAA)が主催する「JAAゼミナール:アドバタイザー×Z世代意見交換会」に、見山ゼミとCLA Creative Lab(*2)のメンバーと一緒に参加してきました。
まず、参加された企業の方々の前で見山ゼミがプレゼンを行いました。
もともと、マーケティング業界や広報などに興味を持っていた見山ゼミの3年生は、Z世代のSNSや情報、広告との付き合い方のポイントを踏まえ、「今後、企業がどのような広告を打ち出したらZ世代からの関心を得られるか?」についての研究を進め、その成果を2024年10月に日本アドバタイザーズ協会で発表しました。その際、いただいたフィードバックをもとにゼミ内で発表内容を再構成し、今回は日本アドバタイザーズ協会の皆さまと参加企業の皆さまに向けて発表とディスカッションの機会をいただいたものです。
10月のプレゼンの様子はこちらから
見山ゼミが考えるZ世代には、
①Z世代は好きと嫌いを明確にしている
②万人受けは求めていない
③本音や素を受け入れてくれる
④興味がある情報のフィルターの世界で生きている
という特徴があります。
企業はZ世代に向けての施策を多く出していますが、そもそも企業のZ世代のイメージとZ世代に該当する自分たちには矛盾が生じており、広告と自分たちの関係でも矛盾があるのではないかという観点から「矛盾」をテーマに研究を進めていきました。
結論として、1つ目は広告に対して不快だと感じていることがあること、2つ目はZ世代は発信力・拡散力を持っているが情報収集に力を注いでいるということが明らかになり、アカウントの使い分けやフィルターバブルなどが挙げられたといいます。
広告に対するZ世代の不快感の打破と、情報収集に力を注いでいるZ世代が持ち合わせている発信力・拡散力を引き出す施策を考えることこそが、「今後企業がどのような広告を打ち出したらZ世代からの関心を得られるか?」という問いの答えを導き出す1歩となることが考察されました。
その後、ゼミ生で議論を行い、好きな広告と不快な広告の具体例をT(時)、P(場所)、O(ストーリー性)、G(ギャップやユーモア)にそれぞれ分けて、その広告に共通する点を洗い出しました。具体例を挙げたことで、広告は購買行動を促すためだけではなく、認知・関心を促すという側面もあるのではないかというもう一つの結論が出たといいます。
そして、今回の発表では、広告の在り方として「商品を売るため」に広告を作るのではなく「認知向上、関心意欲を高めるため」の広告を作っていく必要があるという結論を企業の方々に提示しました。
プレゼンのあと、学生3〜4名と、複数の企業の組み合わせで3つのグループに分かれ、ディスカッションを行いました。
以下に、各グループのディスカッションの様子をお届けします。
1グループでは「広告の効果と不快感」が議論されました。
企業の方々は今回の発表を聞いてテレビ広告が放送される回数やタイミングで、Z世代に不快感を与えてしまっている可能性があるということを知り、驚いていました。そこから詳しく学生が不快だと感じる広告の話や、反対に今まで見た広告のなかで気に入っている広告について掘り下げました。最後には企業の方が自社の広告をどのように考え、学生の意見を踏まえてどのように変化させていくかをお聞きすることができました。
2グループでは「広告は大前提として必要なものなのか」が議論されました。
企業はなるべく不快に感じない広告を出したいという反面、どのような広告が反応が良くないのかを知るために、あえて戦略的に反応がよくないであろう広告を出すこともある、というお話をしてくださいました。ディスカッションの後半には、同じZ世代でも高校生と大学生では使用するSNSツールに違いがあるという話題から、普段のSNS利用状況について深堀をしました。
3グループでは「Z世代と企業の感覚のズレ」から、Z世代のリアルな声について企業の方からさまざまな質問が出ました。
具体的には、「ネットショッピングと実店舗だったらどちらで買い物をするのか」や「消費者が得をする特典のことを提示し続ける広告についてどう考えるか」など、企業とZ世代の考え方のギャップについて意見交換をすることができました。
〜ゼミ生・参加学生の感想〜
見山ゼミ・ゼミ長(現代教養学科3年) 大山 響
発表に向けた準備や思考の整理は大変でしたが、企業の方々の前で発表し、ディスカッションの場を持つことができたのは非常に貴重な経験でした。今回はゼミ内で出た意見をスライドにまとめる形式で進めましたが、広告業界を志望する身として、「企業がどのような広告を打ち出せばZ世代からの関心を得られるか」というテーマについては、今後も考え続けたいと思います。
現在、社会調査士資格取得に向けて統計分析を学んでいることもあり、Z世代から得たデータを活用し、さらなる分析を深めていきたいと考えています。また、今回の発表を振り返って「Z世代の意見」という観点だけでなく、他世代の広告の受け取り方との比較も行えば、より視野を広げた考察ができたのでないか、との反省もあります。
この発表を通じて、普段無意識に触れていた広告や自分自身の購買行動について改めて考え直すきっかけとなり、広告に対する意識を高められたことは、大きな意義をもつと思います。
企業の方々と直接ディスカッションする機会は初めてでしたが、Z世代をターゲットにしたアプローチに企業の皆さまが苦戦されている様子も伺えました。Z世代の「生の声」を取り入れることで、より効果的な広告戦略が立てられる可能性を感じました。このような視点を活かし、今後も企業の方々と連携して、新たな取り組みを模索していけたらと思います。
見山ゼミ・副ゼミ長(現代教養学科3年) 高野 七菜子
今回のプレゼンでは、企業の方々とディスカッションをすることができ、とても良い経験になりました。ディスカッションの内容は主に発表した内容の深堀についてでしたが、特にある企業の方が、AIによる広告を不快に感じるという私たちの意見に共感していたことが印象に残っています。現在、実際の動物が登場するCMでは、世代交代が頻繁に行われていると話されていました。そのため、似たような動物のオーディションの手間を減らすために実際の動物をAIに置き換える案が検討されているとのことでした。まさに発表で取り上げたAIを使ったCMの賛否両論の内容と一致していると感じました。実際に多くの企業がAIの導入を検討しているという話を聞き、自分たちの考えが現実の動きと一致していることを実感し、非常に興味深かったです。
CLA Creative Lab(現代教養学科2年) 大川 玲奈
全体を通して、広告における認識が私たちZ世代とそれぞれの企業側が求めているものと、大きく異なっていたことが衝撃でした。
特に企業の方からの「CMや広告を見て、企業の情報を得ているのか」という質問が印象に残っています。私たちの購買行動はCMや広告からではなく、まずインフルエンサーやTikTok 等を通して、商品を知るといったことを行っていると内容をお伝えしたところ、企業の方が、「広告を流せば良いというものでは無い。難しい点ですね」とお話されていました。企業とZ世代の認識の違いをいかに修正していくかが、今後、重要になってくると考えました。そのためにも、今回のような私たち若者(z世代)が、実際に企業の方と対話をすることに必要性を感じました。
また、私たちより下のα世代の広告の認識は、z世代の広告における認識とどこか異なる点はあるのか。そもそもα世代は広告を気にしたことがあるのか、について興味を持ちました。
CLA Reporters&Magazine(現代教養学科2年) 石井 碧
今回のディスカッションでは、実際に企業でマーケティングを行っている人がどのようなことに着目しているのかを知ることが出来ました。
ディスカッション中や最後のコメントで、「リアルな声」というワードが多く登場していたこともあり、広告制作では「受け手の視線に立つ」ことがどれほど重要なのかを改めて感じました。
私がディスカッションを行った2つの企業の方々は「(企業とZ世代の間に)認識の差がある」と度々口にしていらっしゃいました。特に、ゼミ発表の中にもあった「今後は表示されない」などの購入を催促する言葉に効果があるのでは、と考えていた企業の方もいて「逆効果だったんですね」と、私たちの言葉を真剣に受け止めて下さっていました。
広告文化論の授業で、企業の広告を作ったことで広告の作り手の視点は何となくはイメージできていました。しかし、今回改めて企業の方のお話や疑問点を聞いたことで、より発信する側の視点の気持ちを知ることができ、新たな発見が多くあった貴重な経験となりました。
~日本アドバタイザーズ協会の皆さまより~
このたびはJAAゼミナールへの企画協力ありがとうございました。当日は10社の様々な業種のアドバタイザーが参加していましたが、皆さまのご発表内容、その後の直接のコミュニケーションにより、若い世代の生活者の考えかた、購買行動をよりリアルに実感いただくこととなり、参加された企業の皆さまにとっても持ち帰りの多い場となったと感じています。私たち事務局にとりましても大変刺激となった時間でした。円滑にファシリテートいただきました見山先生にお礼を申しあげるとともに、闊達に意見交換をいただきました学生の皆さまにも感謝いたしますとともに、今後のご活躍を心より祈念しております。
*1 CLA Reporters&Magazineとは
学生の目線から現代教養学科の魅力を発信しています。自分たちで取材、撮影、編集を行い、毎年一冊学科のPR誌である「CLAマガジン」を発行しています。他にも動画制作やブログ記事の執筆も行っています。
*2 CLA Creative Labとは
今年度から始動した現代教養学科の新たなプロジェクトです。
①クリエイティブ・コンフィデンス、②マーケティング・コミュニケーション、③キャリアデザインという3つのテーマで現代教養学科の学生の可能性を広げていくような活動を行います。現在、運営チームで現代教養学科、そして昭和女子大学の学生の可能性を広げるための様々なプロジェクトを企画しています。