【現代社会と社会学】という授業では、現代社会における身近なテーマや事例を考察し、私たちが直面している問題と生きるうえでの課題について考えながら、社会学の基礎と考え方を学生たちに学んでもらっています。授業のキーワードは「人間社会」「疑う力」と「かかわること」です。
7月14日の授業では、例年通り、ローレルゲート株式会社の代表取締役や企業研修講師として活躍されている守屋麻樹先生にお越しいただき、「スポーツとジェンダー」について講義を行っていただきました。内容としては、スポーツ実施率と運動習慣のジェンダー差や女性指導者が少ないこと、また競技中のアスリートの盗撮や悪質なSNS投稿といったハラスメント問題以外にも、例えば、米メディア「Outsports」によれば、2024年に行われたオリンピックパリ大会にLGBTQ当事者であることを明らかにして出場した選手が過去最多の198人で、獲得したメダルは42個にのぼったこともあげられます。
そこで「性的マイノリティー選手(性分化疾患も含む)の観点から課題を1つ設定し、意見をまとめて下さい」というグループワークのテーマが設定され、最終的に各グループによるプレゼンテーションも行いました。以下、学生の受講後コメントを一部ご紹介します。
① 性分化疾患というものを初めて知った。今までは染色体まで調べず、体の差異だけで決めていたから過去に性分化疾患だった人もいるのではないかと考える。筋肉量が多いなどは努力の他にも天性的なものもあり、才能というべきかいわないのかとても難しい議論だなと思った。
② 私も普段スポーツをやっているが、こうやってスポーツ全体のことを考えるのは初めてだった。スポーツ競技には種類があり、ルール・使うもの・人数・条件などがまったく違うため、すべてのスポーツに当てはまる基準を作るのは難しいし、そのスポーツのことはそのスポーツを実際にやっている人たちで決めるのがいいのではないかと考える。
③ ボクシングや柔道のような競技では体格差による安全面が問題になるが、新体操やシンクロのような「芸術点」を競う種目や、アーチェリーのように筋力差が影響しにくい種目も存在する。そのため、一律に男女だけで分けるのではなく、競技の特性に合わせて採点方法を工夫することや、性別を問わないオープン枠を作るなど、ルールを柔軟に変えていくべきだと思った。すべての立場の人が自分らしく、安全に挑戦できる環境を作ることこそが、本当の多様性の尊重につながると強く思った。
④ オリンピックにおける、男女混合は男女を完全にセパレートすることができる前提で設置されていると言われた時ハッとさせられた。そもそも男女混合という種目名にも、性別を二元的に捉える発想が前提として組み込まれているように思えた。
⑤ 性別分類は便利である一方で、人々の多様性を見えにくくすることがあると考えられている。オリンピックもまた、世界中の人々が参加する国際的な舞台だからこそ、「男女」という枠組みを当然視するだけでなく、その枠組み自体を問い直す視点が求められるのではないだろうか。
⑥ 性別で区分するのではなく、筋肉量や身体能力など競技に影響する要素を基準に分類する方法も、ありではないかと考えた。そうすることで女性もより高いレベルを目指して競技に取り組めるのではという意見もあり納得した。
⑦ 選手一人ひとりの尊厳や多様性も大切にしなければならず、簡単に答えが出る問題ではないことを実感した。様々な立場から考えることができ、とても印象に残るグループワークだった。
⑧ 今回の講義を通して、ジェンダーの問題はスポーツだけではなく、社会全体にも関わるテーマであることを実感した。今後もニュースや社会問題を見るときには、一つの意見だけで判断するのではなく、異なる立場から考えることを意識したいと思った。
⑨ 正解はない問題かもしれないが、現状に対して「本当に今のままでいいのか?」「他にもっと良い道はないのか?」と懐疑的な姿勢で考えたこと自体が良い経験になった。「男女混合」という表現についても、以前は特に何も感じていなかったが、いまは違和感を覚える。様々な当たり前に対し、違和感を抱けるようになったことは良い変化だと思った!
記事:担当教員・シム