2024年11月13日(水)13:30-15:00、ベトナム国家大学ハノイ校人文社会科学大学からヴォ・ミン・ヴ先生(東洋学部日本研究学科・学科長)をお招きし、Open Lecture「ベトナム人が見た近代日本―ベトナム人の日本旅行記を通して」を開催しました。
ヴ先生は、フランス植民地期ベトナムで出版された2冊の旅行記を取り上げて講演されました。著者であるブイ・タイン・ヴァンとヴァン・チンの2名が見た情景がありありと目に浮かぶ記述を、参考写真とともにご紹介くださり、彼らが何に注目して日本を見ていたのか、日本の何を評価していたのかを分析されました。そして、両者がともに日本に対して肯定的な印象を語っている点では共通しているものの、前者は日本の社会やインフラを「西洋化の視点」から評価しているのに対し、後者による記述には、「日本の伝統と美徳」に対する憧れが強く表れていること等を指摘されました。
講演に対して、東京外国語大学名誉教授の今井昭夫先生、東京大学教授の岩月純一先生がコメンテーターをしてくださいました。今井先生は、日越関係史の「空白期」を埋めるヴ先生のご研究を評価されるとともに、同時代の知識人やその作品も紹介しながら、思想的立場、時期等、着目すべき視点を整理してくださいました。岩月先生は、ブイ・タイン・ヴァンとヴァン・チンが出身地、フランスへの渡航歴、経済状況でファン・ボイ・チャウ等の抗仏知識人とは背景が異なることを指摘され、異なる背景を持つベトナム人の「日本経験」を全体としていかに考えるべきか、問題提起をしてくださいました。
当日は、対面、オンライン合わせて50名以上の方がご参加くださいました。ベトナム研究者、本学を含む複数の大学の学部生、院生、本学の卒業生、教員、研究員、さらには幅広い分野でご活躍の社会人の方々にご参加をいただき、日越交流の歴史について理解を深めていただく機会となりました。
※ヴォ・ミン・ヴ先生の講演は、本学の協定校との関係強化を目的とした、グローバル推進委員会海外協定校研究者招聘プログラムの支援を受けて実現しました。