図書館インターシップのおすすめの本を紹介します。
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タイトル :『ZOO2』
著者 :乙 一
発行年 :2006年5月
レーベル名:集英社文庫
請求記号 :913.6/0ts-z/2
「ただ一つ欠点があるとすれば母にはペットの猫とサボテンの区別がつかないことである。」(121ページより引用)
皆さんは「ZOO」という作品の名前を聞いたことがあるでしょうか。私の周囲では体感「ZOO? 知ってる知ってる、姉弟が一週間部屋に監禁される話が入ってる短編集だよね」と言われることが多い気がします。その話は赤い表紙の『ZOO1』に収録されている一編「SEVEN ROOMS」になりますが、『ZOO1』の短編は「NINE ROOMS」を含めて映画化されているので、数多くある乙一作品の中でも特に有名なのかもしれません。では皆さんはその続きの二巻、青い表紙の『ZOO2』をご存知でしょうか。
『ZOO2』も『ZOO1』と同じく短編集となっています。収録されている六編どの作品も魅力的ですが、ここでは私のお気に入りの一編「神の言葉」について少し紹介します。
幼少期から「声が美しい」と言われ育った主人公の「僕」。「声」の力で周囲のあらゆる生物に言うことを聞かせることができるにも拘らず、他人をうまく理解できず周囲に媚びへつらい点数稼ぎばかりの人生を過ごしている「僕」は、その力を通じて何を得て何を失い、そして何を望んだのでしょうか。
「通学途中、電車に乗る時、僕の定期券をチェックする人も、隣に座った人も、学校の廊下ですれ違う人も、みんな生き物ではないように見える。」(144ページより引用)
頭のいい母と厳格な父、植木鉢の猫と弟のカズヤに囲まれた主人公の「いつもの苦痛」が、また今日も始まります。
(M.M)
タイトル :『白銀ジャック』
著者 :東野圭吾
発行年 :2010年10月
レーベル名:株式会社実業之日本社
請求記号 :913.6/Hig
『ゲレンデの下に爆弾が埋まっている―「我々は、いつ、どこからでも爆破できる」。年の瀬のスキー場に脅迫状が届いた。警察に通報できない状況を嘲笑うかのように繰り返される、山中でのトリッキーな身代金奪取。雪上を乗っ取った犯人の動機は金目当てか、それとも復讐か。すべての鍵は、一年前に血に染まった禁断のゲレンデにあり。今、犯人との命を賭けたレースが始まる。圧倒的疾走感で読者を翻弄する、痛快サスペンス!』(裏表紙により引用)
夏は暑くて、冬が恋しく感じられると思ったことは一度あるだろう。推理小説が好きで、気持ちだけは冬の気分でいたいと思った人にはおすすめの本だと私は思う。雪山やゲレンデには思わぬ危険が数々潜んでいる。ほとんどは自然災害が原因だが、稀に人間が引き起こすこともある。東野氏が書くゲレンデの恐ろしさと人間の恐ろしさが交じり合うなかでの展開は目を離せない。
皆さんも今年の夏は、冬の世界に飛び込んで、思いっきり推理を楽しんではいかがだろうか?(N.M)
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