旭堂南海師による特殊研究講座

<日文便り>

11月6日に旭堂南海師をお迎えして「講談とは何か?~虚と実の間にある物語~」と題する特殊研究講座を実施しました。旭堂南海師は兵庫県加古川市のご出身で、大阪大学文学部で近世文学を専攻されていました。在学中から大衆芸能に魅せられ、落語、浪曲を経て3代目旭堂南陵先生に入門、研鑽を積んでこられました。現在は上方講談協会の会員でいらっしゃいまして、関西を中心に幅広くご活躍なさっています。最近では、岩波の「文学」という雑誌に「講談師は何を点取るべきか」と題するご論文も発表されています。また1998年には、大阪文化の振興と発展を目指すために設けている「咲くやこの花賞」を受賞しておられます。

講演では日本における講談の歴史とその楽しみ方を、「赤穂義士物語」一部の実演も交えながら分かりやすく教えていただきました。学生の皆さんもプレゼンテーション能力の向上をはかるために日々努力を重ね、発表で取り上げるトピックについて発表者自身が誰よりも一番理解していることは大前提ですが、人の心を惹きつけるような話し方もいかに大切であるかを実感したと思います。と申しますのも、講演の最後に「長短槍試合」の実演を拝聴させていただき、笑って寛いているうちに、いつの間にかお話しの世界に引き込まれていきました。そしてそのお話しの世界に生きた人々の姿が目の前に浮かび、その息づかいすら感じられました。日頃あまり講談を拝聴する機会のない私たちにとって今回の特別研究講座は貴重な体験となり、会場は時折盛大な拍手と和やかな笑い声に包まれていました。

 

(S・H)