<研究室便り>
今年の3年のゼミ生は9名。中世の女流日記『とはずがたり』の作品を、ゼミ形式で読み進めています。
前半の宮廷生活編が先週で終わり、今週から諸国修行編の巻四に入りました。御所追放後、出家した後深草院二条は冒頭から尼姿で登場し、いよいよ都を出て東国へと、涙とともに出立する場面です。旅の途次に宿泊した鏡の宿の遊女、赤坂の宿の遊女の哀れな姿も印象的に描かれています。
発表者は担当箇所を丹念に調べ、問題点については調査結果をもとに自分なりの考察を整理して発表しますが、発表者以外の人も、毎回質問や自分の解釈、気づいた点などを、積極的に発言するスタイルができており、なかなか面白い発想の解釈や異なった視点による考えなどが示され、解釈や考察が深まっていくことも少なくありません。アドバイザーとしては、ゼミ生一人一人の力が発揮されることで、学びの質が高まっていくことを期待しています。
3年もあと数ヶ月という時期になりましたが、卒業論文のテーマや作品はほぼ決まりつつあるようで、平家物語、義経記、女流日記文学、風雅和歌集、お伽草子など多彩です。
少人数のゼミの授業をとおして、学生個々の潜在的な力を引き出せるよう、今後とも努めていきたいと思います。
(ks)