<受験生の方へ>
すっかり寒くなってきましたが、ここまでくれば春も見えてくるというもの。
今日は大学の勉強ってどんな感じなのか、ちょっと変わったものを紹介します。
大学ではもちろん、専門分野を掘り下げて深く学んでいくことになりますが、それは先生の話を聞いて、ひたすら知識を増やすだけ、というわけではありません。
自分で調べ、考え、ときには専門の先生にできないことを、若い力と感性で実現してしまう、そんなことができるのが大学の学びです。
そんな一つが、プロジェクト学習。学科の学びを生かし、学生が自分たちで新しいものを生み出していきます。
プロジェクト学習にもいくつか種類がありますが、今回は今年度の「古典学習教材作成プロジェクト」を紹介します。
古典学習教材作成プロジェクトでは、古文単語を使って白雪姫を古典語化したり、助動詞を擬人化したりして遊んでいます。
11月の秋桜祭で冊子を作成しましたので、受験生も、手に取ってくださったかも・・・。
親しみやすい古典教材を作る、ということを目指しているのですが、高校生にとってどんな教材がいいのか、それがわかるのは、ついこの間まで高校生だった学生ならでは。
専門の学びを深めつつも、受験期の記憶も新しい学生だからこそできることがあります。
教材作成の中の一つの柱が「助動詞擬人化計画」。
古典語の助動詞は、それぞれ語としての性格がありますが、それをキャラクター化して、キャラクターの性格として再解釈、目に見える形で具現化しよう、という試みです。
ただのごろ合わせや表面的な暗記ネタを入れ込むのではなく、それぞれの語をきちんと理解したうえで、ちゃんとわかった者にしかできない擬人化をしよう、と2年間頑張ってきました。
こちらは助動詞「む」の擬人化。擬人化コンセプトからデザイン・作画まで学生が行いました。このプロジェクトがたどりついた一つの答えの形です。
コンセプトは・・・
・未然形接続の助動詞(未来や非現実のこと)は寒色系、連用形接続の助動詞(過去・完了)は暖色系で統一。→「む」は未然形接続のため、寒色。
・意志・推量、といった現実とはいったん別の意味を表すので、服装も現実離れした、ちょっと未来っぽいイメージに。(※過去や完了の助動詞は和服にしてます)
・文中では「婉曲」という薄い意味になるため、「まわりに埋もれて気配を消す」という場合用に、フードがついてます。フードをかぶらないとき(=文中に埋もれず文末で、意志・推量といったしっかりした意味を表すを表す場合)は、きりっとします。
・「む」って感じに、ちょっとふくれっ面。
・助動詞「じ」と裏表の関係なので、これに似たデザインで助動詞「じ」の擬人化を設定。
・・・まだまだ、細かすぎて誰にも伝わらないようなデザイン理由もありますが、こんな感じでそれぞれの助動詞を形にしてきました。
半ば遊び感覚だったのですが、意外と学習面での有効性もちらほら聞かれ始めており、もっと本気出して頑張ろうか、と思っているところ。
これまで2年かけて、主要助動詞はほぼ出来上がりましたが、これらキャラクターをどう生かしていくか、性格の設定なども詰めなければなりません。
また、「らむ」「けむ」「まほし」「る・らる」「す・さす」など、わずかに残っている助動詞があり、来年度からも、新たな感性を迎えて、これらの作業を進めたい、と思っています。
まだ実体化していない「らむ」「けむ」達。それを生み出してくれるのは、今、受験生のあなたかもしれません。新たな力を、待っています。
(SN)