授業風景・日本文学演習ⅡC(万葉集・記紀)- 写本を見る-

<授業風景>

3年生のゼミがはじまり、1ヶ月が経ちました。7人の受講者のうち、古事記と万葉集が
それぞれ半々の割合です。これから学ぶにつれて各自のテーマが定まってくると思います。
いつもは活字本しか手にとらないので、複製の真福寺本古事記の中巻と下巻の奥書を見て、
序文に和銅五年正月二八日に撰上されたと記される古事記が、どのような経緯で伝えられ
たかを不明な点もあわせて確認しました。

奥書に記された和暦を手がかりに探っていきます。「この文字が読めない、漢字ばかりの
表記をしていてわからない」「鎌倉時代の年号、文永・弘安が出てくるのに、賢瑜が書写
したのが応安というのはどいうこと?」…分量的にはそれほど多くない真福寺本古事記の
上中下巻が一括して伝えられたわけではなく、特に古事記の中巻が「諸家無之只在鴨院文庫」
という状況にあったことに驚きます。

あわせて古事記や万葉集の他の写本も見比べました。複製を通してですが、古典の写本の
世界に少しだけ触れました。いつか博物館や図書館で本物に触れてくれたらよいなと思います。

7人の前期の分担も決まりました。柿本人麻呂、大伯皇女、黄泉国訪問説話、根之堅州国
訪問、八千矛神の歌謡など様々です。これまで知らなかった世界に触れ、上代文学を好き
になってほしいなあと願っています。

(KR )