光葉博物館春の特別展 見どころとエピソード③ [2018年06月25日(月)]

<研究室便り>

6/1(金)より光葉博物館にて、春の特別展「図書館70周年・近代文庫60周年記念 ことばのいろ
ことばのおと~人見東明と白秋・露風の詩の世界~」が開催されています。
本展示の見どころをご紹介します。

■本を「見る」
本展示には、本学創立者・人見東明をはじめ、日本を代表する詩人・北原白秋、三木露風を中心
とした、近代詩の歴史におけるエポック・メイキングな詩集や雑誌が、数多く展示されています。
たとえば上田敏の訳詩集『海潮音』や島崎藤村の『若菜集』などは、受験用の文学史でもおなじみの
有名な詩集です。できればタイトルを知っているだけでなく、内に収められている素敵な詩の
1、2篇くらいは読んでみてほしいところ。が、博物館に展示されている本はガラスケースの
向こうで、自分で勝手にページをめくることはできません。

残念! と立ち去る前に、みなさん、もう一度その本をよくよくご覧ください。
いやいや、中身の話ではありません。外側、あなたの目に見えている、その本の「かたち」や
「いろ」のことです。

表紙の材質や色使いはどうでしょう。中には函が付いているものもあります。表紙カバーと表紙
とに、別々の挿絵があったりするものも…たとえば、北原白秋の第一詩集『邪宗門』などは、
左半分が更紗模様入りの紙製で、右半分は背・裏表紙にかけて深紅のクロス製です。表・背表紙に
刻まれたタイトルは金箔押し。じつは本を立てて上から見てみると、「天金」といって本文ページの
上断面にも金箔があしらわれているのが分かります。しかも中はアンカット、いわゆる「フランス綴じ」
で、天金を施された部分しかページが切れていないので、読むときは自分でペーパーナイフで
切り離しながらページを繰ることになるのです。

なんと手間暇かかったゴージャスな(あるいは面倒くさい??)本か、とびっくりなのですが、それだけに、
この詩集にかけた白秋の思いの深さも分かります。収めた詩ひとつびとつがかたちづくる小宇宙を、
本という形式が外側から包み、まとめあげる…『邪宗門』を出版したとき、白秋はまだ24歳、今でいうなら
大卒社会人2年目くらいの青年で、学生のみなさんとさして変わりない年齢です。じっさいに製本され
出版されたこの詩集を手にしたとき、白秋はどんなに嬉しく誇らしかったことだろうかと、想像するだけで
思わずこちらまでにやにやしてしまいます。

こんなふうに、一人の詩人における複数の詩集を、デザインという観点でもって見比べることも、
本展示では可能です。たかが本、されど本。本のデザインから、その詩人の感性や嗜好(<思考)も
またほの見えてきます。そのとき表紙を開いてページを繰れば、むつかしいと敬遠していた詩も、
おのずと分かってくることがあるやも知れません。

春の特別展「図書館70周年・近代文庫60周年記念 ことばのいろ ことばのおと
~人見東明と白秋・露風の詩の世界~」
会期 2018年6月1日(金)~30日(土) 10:00 〜 17:00
会場 昭和女子大学 光葉博物館
休館日 日曜日※6/17(日)は開館
入場無料。

特別展「図書館70年の歩みⅠ~特殊コレクションヒストリー」
会期 2018年6月1日(金)~30日(土)
会場 8号館1階昭ルーム・8号館3階図書館コミュニティルーム
入場無料。

(FK)

本の装丁も、じっくりとご覧ください