七月と言えば…

〈研究便り〉
七月になりました。
皆さんは、七月と言えば、何を思い浮かべますか?
私は七月七日、「七夕」を思い浮かべます。
現在放送中のNHKの朝ドラ「半分、青い。」では、主人公(楡野鈴愛)と幼馴染(萩尾律)の誕生日が七月七日ですね。
この「誕生日が七夕の日」という設定は、ドラマの展開や二人の関係を示唆するキーワードになっているのではないかと密かに思っています。

さて、七夕と言えば、笹飾りと願い事でしょうか。
皆さんも一度は短冊に他愛のない(時には真剣な?)願い事を書いたことがあるでしょう。
この短冊に願い事を書くという行為は、中国の行事「乞巧奠(きっこうでん)」に由来すると言われています。
乞巧奠は手芸や裁縫の上達を祈る行事で、日本では奈良時代に宮中行事として取り入れられ、やがて七夕伝説と結びつきました。
江戸時代には庶民にも浸透し、広く芸事の上達を願う行事となったそうです。

現代では「願い事をする日」というイメージも強い七夕ですが、七夕と言えば、和歌の題材としても有名です。
「ひさかたの天の河原の渡し守きみ渡りなばかぢ隠してよ」
(天の川の渡し守よ、あの人が川を渡ってしまったなら、その楫を隠してほしい、あの人が帰れないように…)
『古今集』のよみ人知らずの歌です。織女の立場になって詠まれた歌ですね。
「七夕の逢ふ瀬は雲のよそに見てわかれの庭に露ぞおきそふ」
(七夕の逢瀬は雲の上の別世界のこと…この地上では二星の別れる夜明けの庭に私の悲しみの涙を添えることよ)
『源氏物語』幻巻、最愛の女性・紫の上を失った光源氏の詠んだ歌です。
七夕は秋の風物としてはもちろん、時には故人を追慕するきっかけとして、詠まれ続けてきたのです。

今年は、願い事をするだけでなく、七夕を題材に和歌を詠んでみませんか。

〈TG〉