〈日文便り〉
日本語日本文学科に中国から留学しているOさんは、
日本語のみならず英語の習得も目指して、TUJ(テンプル大学日本校)に留学しています。
Oさんが、TUJでの生活を綴ってくれたので紹介します。
英語力の上達を目指して、TUJの認定留学に参加しました。
昭和のすぐ隣とはいえ、まったく違う世界にいるような気分でした。
メインは、英語を勉強するのではなく、英語を使って勉強することです。
特に自分が今参加しているブリッジプログラムは、英語非母語話者を対象として、
学部で本格的に勉学できるように鍛えるカリキュラムです。
単純に文章を読んで書いたり英語を聞いて話したりする授業はもちろんありますが、
ほかに、グローバル化や自動化の職業に対する影響を検討するビジネスの授業、
そしてアメリカにおける種族主義や移民問題を考査する人文学の授業もあります。
図書館やデータベースの使い方、研究方法を勉強する演習もあります。
テンプルのデータベースは、日本のどの大学よりも内容が充実しているらしいです。
(ちなみに昭和の学生はTUJの図書館に自由に出入りできるので、ぜひ利用してみてください。
日本語教育に関する書物も置いてあります。)
授業や試験では、学生のクリティカルシンキングは英語力や学習力と同じぐらい重視されます。
授業中は先生やほかの生徒に反論することが歓迎されます。
自分の立場を強く持ち、人の意見を批判的に見る力はたくさん試されます。
また、日本人の学生は多めですが、中国、韓国、東南アジアなどの学生もいるので、
公平のために授業で日本語を話すことは禁止されています。
授業を受けてみると、昭和との違いをたくさん感じました。
(おそらく出席に厳しい以外は共通点がありません。)
その違いを三つにまとめてみました。
まず一つ目はパソコンを多用することです。
日文ではレポートを作成するとき以外はほぼパソコンを使いませんが、テンプルだと毎日ノートパソコンを持ち運ばなければなりません。課題はプリントアウトせずにすべてインターネットを通じて提出し、テストも時としてインターネットで行います。そして提出した課題やテストの成績は採点が終わり次第反映され、自分の最終成績をある程度予測でき、これからどれくらい頑張ればいいかを見当つけることができます。しかも、課題の締め切りなどははっきり表示されていますので、多くても忘れることなく完成できてとても便利です。
二つ目は、教授が喋らない授業があることです。
例えば、人文学の授業を受ける前に、先生が学術雑誌からいくつかの文章を指定し、学生はデータベースからアクセスして読みます。授業中は先生が一方的に話す時間はほぼなく、大体はグループの中で読んだ文章の内容についてディスカッションをし、最後にプレゼンテーションを行います。先生はこの間に進捗状況を見てサポートします。知識のほかに、本に書かれたものから、いかに自分の考えを作るかを学びました。
三つ目は、復習の仕方です。
昭和の試験は今まですべてひとりで復習してきましたが、テンプルのテストはみんなで力を合わせる必要があります。テスト前日は学習室に集まって、話し合いながらグーグルドライブに情報を共有してノートを見やすいように表の形に整理し、最後にそれぞれ自分の得意の部分をみんながよく理解できるように発表します。テスト復習はTUJの学校生活で一番楽しかったです。TUJでは、日文で学んだ語学知識や日本語教育の方法を活かす機会もありました。
そしてTUJにいることは、英語を学ぶだけでなく、言語や多文化共生について考える絶好のチャンスでもあります。
日文に戻ったら、この経験をきちんと活用しようと思います。(MN)