高御座・御帳台を拝見して。出雲と大和展を見学して

東京国立博物館で、令和元年10月22日の即位礼正殿の儀において天皇陛下がお昇りになられた高御座と、皇后陛下がお昇りになった御帳台を拝しました。
あまりの大きさと装飾の見事さに圧倒されました。


【御帳台(手前)高御座(奥)】

高御座の高さは6メートル50センチくらい、四角形の台座の上に、八角形の天蓋が設けられています。頂上には大鳳が止まっています。高御座は『続日本紀』文武天皇即位の詔に「天津日嗣高御座」と出てきます。古くから皇位継承と深く関わっていました。「高御座」には歴代天皇に伝わる三種の神器のうちの剣璽と御爾・国爾を置く台(案)も儲けられていました。


【高御座内部】

御帳台は隣に置かれた高御座と比べると作りはほぼ同じですが、高さも大きさも小ぶりであることがはっきりとわかりました。蓋の頂きには鸞が止まっていました。現在の高御座は大正天皇即位に際して新調されたものですが、その時から即位式で皇后も隣に並ばれるようになったため、御帳台も作られました。
今回は後ろ側からも拝する事が出来、京都御所の紫宸殿で見た時とは異なり、その偉容や美しさを身近に感じることが出来ました。


【御帳台背面】

「出雲と大和」展は日本書紀成立1300年を記念した特別展です。『日本書紀』神代巻(乾元本)や出雲国風土記(倉野家本)、播磨国風土記や考古学の貴重な展示物などに目を奪われました。出雲大社の心御柱と宇豆柱、金輪御造営差図を併せて見ることが出来ました。荒神谷遺跡や加茂岩倉遺跡から出土した銅鐸や、黒塚古墳出土の鏡も見事でした。神原神社古墳出土の「景初三年」の銘が見える三角縁神獣鏡、石上神宮の七支刀や「日の御盾」、藤ノ木古墳の出土品も間近でじっくり眺めることが出来ました。

太古からの気の遠くなるような時間の流れの中で繰り広げられた人間の営みに直に触れる時、
自分が現代に生きる人間であることを忘れ、時の流れが止まったように感じます。
人間が作り上げてきた技術と創造の見事さに心を奪われます。
(KR)