<授業風景>
こんにちは。古典文学担当の山本です。
2月9日に開催した「狂言ワークショップ online」についてご報告します。
この催しは、SWU(昭和女子大)とTUJ(テンプル大ジャパンキャンパス)との交流を目的として企画されたものです。昨年度に引き続き、和泉流狂言師の野口隆行氏を招いての狂言ワークショップを、対面とオンラインのハイブリッドで行いました。参加者は、SWUとTUJの学生25名(内、対面9名・オンライン16名)、教職員6名の31名でした。
前半は、SWUの学生2名が進行役で、SWUの学生が作成したクイズで、狂言の世界を紹介しました。
その後、まず「柿山伏」の前半の場面の実演、続いて狂言の喜怒哀楽の演技などを教えていただき、実際に体験しました。
ワークショップの最後には、「柿山伏」の場面で、参加者全員が柿主役となり、声をかけながら手拍子を打ち、それに合わせて山伏役の野口さんが木から落ちるところを演じてくださいました。どちらの参加者も共に楽しむことができる内容でした。実際に自ら声を出し、手足を動かすことで、狂言の演技についての理解が深められたのではないかと思います。
後半の狂言装束の着付け体験では、対面参加のTUJの学生さんがモデルとなりました。
各装束の解説を織り交ぜながら、手際よく着付けられる様に、参加者一同ただただ見入ってしまいました。
最後に「棒縛」で演じられる小舞(「暁」)を鑑賞して終了となりました。
参加した学生の感想を一部紹介します。
〈対面での参加学生から〉
◆私は今回、対面で参加し、笑いの演技も体験した。正直、この笑いはそれほど大変なものではないと思っていたのだが、なかなか息が続かず、狂言の演技の難しさを実感した。これを簡単そうに見せることで、幸せや楽しいという思いを伝えられるのだと考える。 実際に狂言師の方のお話や演技を間近で見ることで、生の狂言の素晴らしさを体感することができた。
◆今回の講座に参加して印象に残ったことがあります。それは、狂言というのは誰もが「楽しい」「面白い」と感じさせる日本の伝統芸能であるということです。最初は対面で参加した学生には緊張した雰囲気が漂っていましたが、狂言のクイズを行ったり、狂言師の野口さんが実際に演じている姿や道具を使って演じたりする姿を見て、徐々に笑顔が増え、楽しい時間になりました。
◆対面・オンライン双方向での開催は考えるべき点が多く、卒業前に貴重な経験をさせて頂きました。間近で同じ目線に立って頂くことで、踏みしめた時の振動や息遣いを五感で感じることができました。
〈オンラインでの参加学生から〉
◆ワークショップ全体を通して行われた野口隆行氏の演技では声の迫力はもちろん、教室が一瞬にして能楽堂の雰囲気になる様子を目の当たりにし、狂言を演じるうえでの力強さを感じた。今回のワークショップをきっかけに「能楽堂で実際に見てみたい」という気持ちがさらに強まった。
◆特に、実際に装束をつけるところが見られるというのはとても貴重な体験だったと思います。外からは見えないものも着ていて、実際には結構な重ね着をしていたというのは驚きでした。
◆今回のワークショップは狂言がどういうものなのか知る良い機会となった。装束の着方にも動きやすいように工夫がなされ、また感情を身体全体を使って表現していることが画面越しでも伝わってきて、とても面白かった。
◆狂言を身近に感じることができ、いろんな演目を見てみたいと思いました。画面を通してですが、狂言師の方の声を実際に聞き、小舞も見ることができて狂言に対しての興味が大変大きくなりました。
◆クイズ形式で解説と共に楽しみながら学ぶことにより、狂言についてさらに理解を深めることができた。
TUJの学生さんも感想を寄せてくださいました。
◆I didn’t know much about Kyogen so I really enjoyed the workshop. The staff and students was very friendly and the presentation was educational and entertaining.
◆I did decide to wear the kimono after all! Thank you very much, it was a wonderful experience for me. I would definitely like to attend more events in the future and would recommend to other TUJ students as well. Thank you again for this opportunity!
今回は、コミュニケーションスピーカーをつなぎ、複数のPCを用いてのオンライン中継でしたが、一部で音声が聞こえなかったという感想もあり、今後こうした講座を実施する上で参考にしていきたいと思います。
今回は両校の交流といっても、なかなか難しいところがありましたが、対面参加の学生たちは、前半と後半の僅かな休憩時間に歓談する様子が見られました。
今回寄せられた感想で何より嬉しかったのは、実際の舞台を見に行きたいというものでした。
オンラインはどのような場所でもつながる便利さはありますが、生の迫力は伝えきれません。コロナ禍の中、古典芸能に限らず、舞台芸術を取り巻く現状は厳しいものですが、様々な感染対策をして上演されるようになってきました。今回のワークショップが能楽堂へ足を運ぶきっかけになればと思います。
(山本晶子)