ツチハンミョウ [2016年06月30日(木)]

<日文便り>

実家の庭先を我が物顔に歩く巨大な蟻…?らしきものを発見。田舎名物の大きな蟻、ではありません。よくみると異様に大きいお腹の上に、後退した羽がちょこんと残っています。色も緑がかったメタルでかっこいいかも。

 

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 これ、「ツチハンミョウ」といって、『ファーブル昆虫記』でも紹介されている、変な虫界の有名人。そのアクロバティックな人生を知ると、「お前すごいヤツだったんだな」って思えます。指に向かって「やんのかコラ」ってすごんでるようにも見えますが、それだけのことはあるすごいヤツです。

 ツチハンミョウは、蜂の卵に寄生して育ちます。でも、だからといってツチハンミョウの親が、蜂の巣に出向いて「すいませーん、うちの子預かってください。おたくの卵に寄生させてください」って言ったところで寄生させてくれるわけありません。そこで、蜂の卵への寄生を目指すツチハンミョウは、土の中から、はるか蜂の巣を目指します。

ツチハンミョウの作戦はというと・・・

 

土の中から花によじ登り、花の蜜に集まった蜂に飛び乗り、蜂の巣を目指す、

 

というあまにりも壮大なプラン。

 

 まず、ツチハンミョウは、蜂の巣近くの地中に卵を産みます。写真でもお腹が大きいことがわかるとおもいますが、一度に4000個も産むそうです。

どうして4000個も産むかといったら、生存確率が極めて低いから、ですね…。

 

~~ツチハンミョウが蜂の卵に寄生するまで~~

 

地中の卵からかえった幼虫は、とにかく近くに生えてる植物に登ります。

お目当ての蜂は、キク科の花の蜜が好きなので、キク科の植物に登れれば蜂と接触できるかも。

 

 

Q.キク科に登れなかった幼虫はどうなるの?

A.死んじゃいます。

 

Q.キク科に登れた幼虫に、どうやってキク科を見つけたのか聞きたいんだけど…

A.たまたま登った植物がキク科だったんです。

 

 

キク科の植物によじ登ったら、花の中にもぐって蜂が来るのを待ちます。蜂が来たら蜂の毛にしがみついて旅立ちましょう。

 

 

Q.蜂が来なかったらどうなるの?

A.死んじゃいます。

 

Q.花に来た虫が蜂じゃなかったら?

A.とにかくやってきた虫に飛びつきます。その虫が蜂じゃなかったら、蜂の巣には行けないので結局死んじゃいます。

 

Q.どうやったら蜂に飛び乗れますか?

A.たまたま登ったのがキク科の花で、そこにたまたま蜂が来れば飛び乗れます。

 

Q.蜂さえ来たら100%飛び乗れるの?

A.もちろん失敗はつきものです。失敗したら死んじゃいます。

 

 

蜂に飛び乗っても、ここからが本当のスタート。蜂の卵に寄生したいので、巣で蜂が卵を産むのを待ちます。

 

 

Q.オスの蜂に乗っちゃったら、卵産まないけど?

A.乗ってるオスが、メスに近づいたときに乗り換えましょう。

 

Q.オスからうまいこと乗り換えられなかったら?

A.やっぱり死んじゃいます。

 

 

さあ、蜂が卵を産む瞬間に、卵に飛び乗れれば寄生成功。

 

 

Q.卵を産む瞬間に飛び乗るって、できるの?

A.難しいです。

 

Q.タイミングとか、着地点とか、ちょっと間違うとどうなるの?

A。蜂の巣の中で、卵の周りには蜜があります。失敗して蜜の上に落ちると、溺れて死んじゃいます。

 

 

・・・ここでようやく普通の幼虫生活のスタートラインに立つことができます。

このあとも、一度さなぎになってから幼虫に戻ってもう一度さなぎになって、それから成虫になる、などなど、なにかとアクロバティックな人生を歩むツチハンミョウ。そんな人生を歩んできたのが、写真のツチハンミョウ成虫。ついでに成虫は毒持ってます。もはやこれもすごい。

見た目はなんてことのない虫ですが、「お前すごいヤツだったんだな」って思っていただけたでしょうか。

目の前にあるものの背景と歴史を知ると、目の前のものの見え方が変わってきませんか?「ことば」に対して、そういう経験を重ねていくのがこの学科だと思っています。

 

(SN)