2022年前期 日本語教育オンライン実習@ハノイ

コロナ禍で2020年夏以降開催できなかった日本語教育海外実習をオンラインで実施しました。
渡航を伴わない実習であったため実習生の参加は3名に止まりましたが、参加した3名の実習生は協力して授業準備に臨み、ニーズ分析、コースデザイン、教材作成、指導案作成、授業実施、評価という教員にとって必要な教育実践のプロセスを一通り経験しました。

ベトナムの協定大学の日本学科の学生6名が学習者として参加してくれました。
授業では、「日本人の本音と建前」をトピックにして、学習者の内容理解を深めることと日本語のインプット(読解)からアウトプット(話し合い・インタビュー・報告会)へ結びつけることを目標としました。
初めてのオンライン実習でしたが、実習生の準備の甲斐あって順調に進み、参加した学習者からは「面白い内容だった」「日本語をたくさん話せてよかった」と期待以上の評価をもらうことができました。
積極的な学習者の参加が実習生に意欲を与えてくれること、学習者の日本語力の伸びを感じることが教師にとって喜びであることは、オンラインであっても同じで、実習生にとって大きな糧となったと思います。

オンライン実習に参加・協力してくださったハノイ人文社会科学大学日本学科のV先生、学習者の皆様、それから実習生に中級の授業見学の機会をくださった同僚のY先生、本当にありがとうございました。
(NS)

参加した実習生のレポートから収穫の一部をお伝えします。

2年生Aさん:
一から授業を自分たちで考え、実際に日本語学習者に授業をするという経験が初めてだったため、凄く緊張しました。自分の中で上手くいかないことも多くありましたが、3回の授業を無事にやりきることができて良かったと思います。学習者に合わせて授業を創る大変さを身に染みて感じたと共に、その大変さ以上に授業に前向きに取り組んでくれる学習者がいるということに嬉しさを感じ、励みになりました。

2年生Bさん:
私はこの実習を通して、自分の日本語を教える能力はまだ未熟であることに気づかされた。授業準備や授業中の発話の仕方など、‥先輩の様子を見て学ぶことばかりであった。やさしい日本語の運用力や、なるべく短文で話すことなど、授業以前に学習者と関わっていく中で重要であることへの意識が低かったと思う。この反省点は次回の実習で生かしたいと考えている。実習に参加することで「自分がどのくらいできて、何がまだできないのか」が明確化されたように思う。今後の日本語教育関係の授業を受講する際に役立つのではないかと考える。

4年生Cさん:
実習を通して、授業を一つの流れとして考えることが重要であると強く感じた。自分の担当したタスクシートのみの修正作業に時間を割いていたが、他の人の作成したタスクシートもしっかりチェックしておくことが必要であった。授業は授業内の活動ごとに分割されているものではなく、そのテーマを取り扱う授業は一セットであり、まとまりであることを改めて認識した。何のためにこのタスクシートがあるのか、何を導き出すためにその問題が設定されているのか理解し、自分のタスクシートや指示に反映させる必要がある。・・そうすることで、より目標を達成しやすく、明確な授業を学生に提供できると考える。