<日文便り>
烏谷ゼミでは『古事記』『日本書紀』や『万葉集』などの奈良時代に編纂された文献をもとに「上代文学」を学んでいます。わからないところは資料を用いて調べ、想像し、自分の感性を最大限に生かして考えることはとても楽しく、これは上代文学を学ぶ醍醐味だと思います。
私は、卒業論文で「万葉集の色彩」について調査をしていますが、1300年以上も前の人々が目にした色彩を文学から読み解くのは難しく、日々資料と睨めっこしています。ゼミの授業では写真のように、先輩たちが型紙を起こして作製した上代の衣装を実際に身に付ける体験をし、文学の周縁の世界も味わいます!大伴坂上郞女を調べる友人と、貴族の高位の女性の衣装は多くの色彩が用いられているのにも関わらず、色彩がうまく調和して美しさを感じさせる点に、当時の貴族の人々の美意識が表れているねと話しました。
意見交換もゼミの楽しみです。
(4A 原田 愛加)
古代貴族の衣服を着てみて分かったことは、ゆったりとしていますが袖も裾も長くて大変だということです。一人では着られないので身分が高い人ほど装うことが大変なのだと思いました。
また、帯や衣を一枚ずつ見た時は色の統一がないように思えましたが、全体を重ねて見ると整っている気がしました。身分階級によって衣服は決められていても、儀式以外ではさまざまな色を選んで合わせて楽しんでいたのかもしれないと想像でき、楽しい体験ができました。
(4A 須藤彩花)
『古事記』や『万葉集』を読み進める中で、「当時の人はどのような服装をしていたのか?」と疑問に思っていました。今回先輩方が作られた衣装を実際に着てみたところ、位の高い人が着る服装の色彩の豊かさやグラデーションを体感することができ、庶民が麻布でいかに質素な服装で生活していたかを知ることができました。今後の卒業論文の研究を進める中で、服装についての記述が出てきた際には色彩をイメージしながら本文と向き合っていきたいと思いました。
(4B 菊池美雪)
着物や浴衣などの和服を着る機会はこれまでに何度かありましたが、今回のような古代の衣装を着るのは初めてであったため、とても新鮮で楽しかったです。授業の中でも、色彩の豊かな衣装だと話に上がったように、目に入るだけでも華やかで色とりどりな服装は、麻の布を纏っていただけの庶民と比べて、着るだけでも意識が変わり、まさに格の違いを感じました。また、七夕の織女がイラストに描かれるときの衣装に似ているなと思いました。飛鳥時代から奈良時代にかけては中国唐代の服装様式を取り入れています。
ゼミのメンバーは三年次から何度も顔を合わせていますが、コロナ禍で距離をとって着席していたので、向き合ってきちんと会話するのは今回が初めてでした。私は転科したため同じ学科の友達が少ないので、卒業論文に対する不安がある中、相談できる仲間が出来たのは個人的にもすごく嬉しかったです。来週から始まる後期の発表も気を引き締めて頑張ります。
(4A山崎花織)
我が衣 色どり染めむ 味酒(うまさけ) 三室の山は 黄葉(もみち)しにけり
『万葉集』(巻7・1094)
華やかな色彩の衣装へのあこがれや、美しい色で装いたいと願うのはいつの時代も共通している心情でしょう。奈良時代には今日の和服の衿の合わせ方(右衽)になります。女性はハイウエストからの裙(も)という二枚のスカート状のものをはき、領巾(ひれ)をつけるのが特徴的です。
(烏谷知子)