<日文便り>
新年を迎え、早くも半月が過ぎようとしています。
試験を前に緊張しているかもしれませんね。
どうぞ体調を整え試験に臨んでください。
今日は私の専門の日本語教育について少し書きたいと思います。みなさんの同級生に外国出身の方はいますか。外国出身の高校生の中には、日本語の力が十分についていない中で進路選びをしなければならない人がいます。今、日本のさまざまな地域で、高校、教育委員会、NPO(非営利組織)が協力して支援をしていますが、その数は不足しています。
このような背景には、外国出身の生徒らの高校中退率の高さがありました(2018年度文部科学省による調査)。2021年度調査では改善はしましたが、公立高校生の中退率が1.0%に対し、外国出身の生徒のそれは5.5%と、その差は依然大きいことがわかりました。就職率を比べても非正規職に就いた割合が4割と非常に高いものでした。
小中学校を含む公立学校全体の日本語指導が必要な子どもの数は21年度では約5万8千人で、3年間で14%増えたという調査結果もあります。国境を越えて「移動するこどもたち」はこれからも増えていくことでしょう。高校では、23年度からは日本語学習を卒業単位に3割程度まで認定できることなりました。しかし、これはまだ一歩にすぎません。まだまだ支援や環境づくりは必要です。
日本語の力は人それぞれですが、進路選択やキャリア形成に不利にならないよう、学校での支援もとても大事です。もし近くに日本語で困っている人がいたら、優しく話しかけてみてください。何らかの事情であなた自身が外国に住んだことを想像してみてください。日本語能力だけで人が判断されないためにも、日本語母語話者(日本人)一人ひとりの理解が重要だと考えています。
国籍を問わず、みなさんそれぞれの受験がうまくいくことを心より願っています。
(近藤彩)