日文の学生が留学する意義とは?―昭和ボストン留学中の日文生インタビュー(1)

〈日文便り〉こんにちは。日文の植松です。
2023年度前期に日文から昭和ボストンのSpring15に参加している2年生の相川さん(以下Aと表示)と中村さん(以下Nと表示)にZoomによるインタビューを行いました。長くなるので、2回に分けて報告します。第1回目は、留学のきっかけや「日文学生が留学する意義とは?」などの全体的な話を中心に取り上げます。
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【Q1】1年生のいつごろボストンに留学しよう!と決めましたか?
A:入学時には決めていました。もとから留学には興味がありましたが、昭和ボストンがあることは合格発表後に知りました。
N:4月です。入学してからの説明会で知りました。カリキュラム内で休学しないで行ける点に魅力を感じました。

【Q2】ボストンに留学しようと思ったきっかけを簡単に教えてください。
A:中学時代の英語の先生が、受験のための英語だけでなく、運用を重視した授業だったことに影響を受けています。当時から英語や異文化を熱心に勉強していましたが、海外渡航経験はありませんでした。そこで、自分の力を試す良いきっかけになると思い、迷わず決心しました。
N:実は私は大学生になるまでは、「みんながやるからやる」という感じで過ごしてきました。でも、振り返ってみると自分に何ができるか?はっきりと言えず、収穫がなかったことに気付きました。そこで大学生になったことを機に、新しいことにチャレンジしてみようと考えました。1年生の時は大井松田プロジェクトに参加し、その次は留学だ!と決めていました。

【Q3】ボストン留学での個人の目標は何ですか?
A:私は日本語・日本文学科生ですから、その分野に関する理解を深めることが目標です。具体的には、他国で感じられる日本の存在感、それによる日本語学習志望者の状況、言語の視覚的作用の違い、文化的背景の違いから生まれる思考傾向とそれに伴う会話形態の違い、など。多くのテーマをもとに海外での生活を実感してみようと思っています。語学力習得は目標ではありません。
N:もともと英語がすごく苦手だったので、自分の素直な思いを英語で話せるようになることが目標です。苦手だったのですが、留学して頑張ったらできるようになるのでは?と思い切って一歩踏み出すことにしました。

【Q4】あなたが英語を学習する目的は何ですか?
A:いわゆる世界共通言語である英語を知るだけで、これまでよりももっと多くの人の考えを知ることができます。人間の文化そのものに興味がある私にとって英語、または言語全体は学びや発見のきっかけであり、そのために私は英語を学習しています。
N:最初は「就活で武器になるかな」ぐらいの気持ちでいましたが、留学してみて、英語を話すには考え方を簡潔にまとめておかないといけないことを強く実感しています。何事に対しても自分の考えを持つ、そしてそれを相手に伝わるように簡潔に表現できるようになる、それを達成するための第一歩がこの留学になると考えています。

【Q5】日文の学生が留学することにどんな意義があると考えますか?
A:私は英語を勉強したことから日本語を、または言語そのものに興味をもつようになりました。ここから分かることは、何か(日本語)を知るためにはそれ(日本語)だけでは見えないこともある、比較対象があることは学びを大きく助けてくれる、ということです。言語コース、文学コースに限らず、他を知って理解を深めるということはまさしく人間文化を客観的に捉え、実感するということだと思っています。留学には各個人それぞれの目標をもってするものだと思いますが、留学は自身の見解の「答え合わせ」、または「課題発見」の場ではないでしょうか。私にとってこの留学の意義は、異文化に身を置くことで語学以上の学びのテーマを与えてくれるところにあると思っています。やや抽象的になってしまいましたが、先の「留学の目標」に重なるところが多いです。日文生だからこそ、大きな意義があると思います。
N:普段自分が使用している日本語の複雑な部分を実感をもって理解し、言語への理解を深めるという意義があると考えます。世田谷キャンパスで学んでいた時にも、日本語学や日本語教育の授業を履修して頭ではわかっていた気がしていましたが、他者に分かりやすく説明することの難しさを実感しています。異文化に身を置いて生活すること、英語を学習することを通して、日本語・日本文化をより深く考えることにつながっていると思います。
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このインタビューをしたのは4月下旬、ボストン時間で金曜日の夜8時からだったのですが、本当は1時間で終わらせようと思っていたところを夢中で90分話してくれました。留学してから約1か月たったところでしたが、1か月間でも自分の中でさまざまな気付きや学びが蓄積されていて「伝えたい!!」気持ちがあふれてきていることを感じました。

日文の学生の中で、留学を迷っている人がいるなら、是非一歩踏み出してみてください。
まずは教員に、CIE(国際交流センター)スタッフに、自分の希望を伝えてみてもいいと思います。
思いをことばとして他者に伝えてみるだけでも、何かが動き出すはずです。

では、その(2)では面白い授業やクラブ活動、ボストンの大学との交流のことなど、もう少し具体的な留学生活のことを取り上げます。

(植松容子)