<日文便り>
こんにちは。日文で日本語教育を担当している植松です。
今日は、2023年度の4年ゼミ学生の卒論題目を紹介したいと思います。
2023年度の私の4年ゼミは、3名の留学生を含む合計12名です。
日本語教育のゼミですが、教育寄りのものから言語寄りのものまで様々です。
以下に、大まかに3つにジャンル分けして卒論題目を7例紹介します。
日本語母語話者のデータに注目した研究
「日本語学習教材としてのアニメの検討―可能表現に注目して―」
「日本語母語話者におけるテイルの使用―話題による違いに注目して―」
日本語学習者のデータに注目した研究
「中国語母語話者における応答詞の使用状況―「ええ」を例に―」
「日本語教育における「たり」の扱い―会話における日本語非母語話者の使用実態を踏まえて―」
「日本語母語話者と中国語母語話者の日本語指示詞の使用実態の違い―音やにおいを指す際に選択される指示詞を中心に―」
学校教育と日本語教育との関連を扱った研究
「教職課程履修学生は外国籍生徒の指導をどのように考えるか―教育実習経験による変化に注目して―」
「外国につながりのある生徒への中学校国語科支援―リライト教材をもとに―」
卒論では、自分が知りたいと思うことをとことん追求してほしいと思っています。
では先輩たちはどのようにテーマを決めたのでしょうか?
それは、自分がこれまでに学んだこと、読んだ本、経験したこと、見聞きしたこと…そういった日常の中から「あれ?」と引っかかる素朴な疑問から生まれます。
ある人は、趣味でアニメを見ている時に「アニメのことばは規範的なのか?ら抜きことばはどの程度使われるか?」という疑問から、
ある人は、日本語の教科書の会話文に現れる応答詞の「ええ。」は、日本語母語話者はあまり使っていないのでは?という疑問から、
ある人は、日本語教育科目を履修している学生はそうでない学生と比べて、外国籍児童生徒の教育に対する意識が異なるのではないか?という疑問から出発しました。
卒論を指導していてつくづく感じるのは、答えはその人自身の中にあるということです。
また、卒論に限らず、何事も解決の鍵は【対話】にあると思っています。
教員はさまざまな問いを投げかけ、いかに考えさせ、その考えをいかに言葉にさせるかが肝要です。
昭和女子大学は教員と学生の距離が近いため、教員と気軽に対話できる環境があります。
受験生の方、そしてまだゼミに所属していない1年生、2年生の方、日常生活の中でふとしたときに生じる疑問を大切にしてみてください。
皆さんが心からワクワクするテーマに出会えますように!
(植松容子)