2022年9月5日学長ブログ

先日、私が所属する学会支部の夏季セミナーに参加しました。

初日の講演会は、シルクに関連するテーマで、絹繊維に特殊な機能性を付与し機能性材料に変換する研究、日本の製糸産業の歴史、蚕糸科学の最近の研究、地球保全と社会課題の改善するための絹の新しい活用についての講演がありました。日本の富国を目指した国策として絹の製糸工業を発展させ、やがて世界を席巻するレベルに至りますが、これには渋沢栄一等、当時の人々の崇高な理念と尽力があったことを知りました。

2日目には世界遺産の富岡製糸場や碓氷製糸工場を見学し、明治時代に製糸産業を興すために先駆者として知恵を絞り、行動した人々の足跡を辿りました。富岡製糸場では良家の子女が工女となって働きながら操糸技術を学び、その後故郷で指導者となり、器械製糸技術が日本全国に伝播したそうです。日本で高い製糸技術が速やかに広まったのは、これらの工女たちの活躍と、日本人の識字率が高く多くの人が教材を読めたことが一因であると一説には言われています。製糸場での女子教育が日本の製糸産業の発展を支えたように、いつの時代も教育は社会を支えるものであることを改めて実感しました。

  

(富岡製糸場の入口)           (富岡製糸場 操糸所内部の機械)

因みに富岡製糸場が世界遺産に登録された後、この周辺の町並みは賑わいのある街並みに変貌していました。